第十六話 禁断のXID分析―『作者・読み専ユーザー割合』『評価した作品数』
<< 続きっ! >>
今回も引き続き『XID』に焦点を当てて、なろうR18サイトユーザの実態に迫っていきたいと思います。
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<< 『作者割合』について >>
Xサイトにおける「作者数」については第三話でも取り上げましたが、第三話で用いた「なろう18禁API」を使用する手法では、APIの仕様上、作者固有のXIDまで取得することができず、作者が任意に設定できる「作者名」を代わりに用いて分析を行いました。
しかしその手法の場合、同名の作者を1人の同じ人物としてカウントしてしまうという欠点があります。
※後述しますが、XID保有者のうち約半数の人は「ユーザ名被り」しているため、なろう18禁APIを用いた手法で正確な作者数を算出することは無理があると言えます。
なので今回は被りが一切なく、一人に対して一つしか存在しない「XID」の視点から、Xサイトにおける「作者数」について検討していきたいと思います。
□ 方法
今回は前回と同じデータを用いて、データ取得の時点で退会していなかった全33万3714個のXIDデータを対象に集計を行っていきます。
※なお今回は作者マイページの作品数を取得しているので、Nコード視点から見れば辿れる「検索除外作品」や「掲載サイト」については見れていませんのであしからずです。
□ 結果
作品1以上 6%
作品0 94%
□ 考察
作品を1つ以上公開しているXIDの割合は約6%であることが分かりました。
これはつまり、XID保有者における「作者割合」は約6%であると言い換えることができます。
逆に言えば「94%の人は読み専ユーザー」ということになります。
<< ここまでのまとめ >>
XID保有者の中で作品を1つでも公開している人の割合は約6%
読み専ユーザーは約94%であり、作者として活動している人はXID保有者のうちでもごく一部の人々であると言える。
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<< X作者における「作品公開数」の割合 >>
次に、X作者における「作品公開数」についても見ていきたいと思います。
これは先程の6%の人々に絞った解析となります。
□ 結果
□ 考察
X作者さんの中でもっとも多いのは「作品1」であることが分かりました。
作品投稿数の統計量を見ると、平均値は「3」となっているものの、中央値が「1」であることから分かるように、大多数の作者さんは1作品投稿に留まっているというのが実態のようです。
なお作品数が最も多い作者さんは「164作品」を投稿しているということも分かりました。
<< ここまでのまとめ >>
大半のX作者は「1作品のみ」の投稿に留まっているという実態が明らかとなった。
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<< 「評価した作品数」の実態 >>
次に『評価した作品数』について見ていきたいと思います。
なろう系サイトでは『どの作品をどの様に評価したか』については作者マイページにアクセスすることによって誰でも閲覧できる公開情報となっています。
またこの『評価した作品』はブックマークとは異なり、非公開設定にすることは不可能な仕様となっています。
※作者マイページで評価した作品を確認する方法
なのでこの「評価した作品」の数字は推計値とかではなく、目に見えるものが実態そのものであると言えます。
それでは、いよいよ禁断の領域である『XIDにおける評価した作品数』の実態に迫っていきたいと思います。
□ 方法
今回もこれまでと同じデータを使用していますが、評価した作品数については「通常マイページへのリンク」や「投稿作品数」とは別のページから取得しています。
□ 結果
1作品以上評価 24%
評価0 76%
□ 考察
XID保有者のうち、1つでも作品を評価したことのある人は全体の24%であることが明らかとなりました。
逆に言えば「76%の人は作品評価を一度も行ったことがない」と言えます。
半数以上の人はXIDを持っていても作品評価をしていないというのが実態である様です。
※なおこの「作品評価を行ったことのある人の割合」について、nis氏が行ったなろう本家のアカウントを対象としたサンプリング調査*1では、2016年時点で約8割のアカウントが作品評価経験0という結果が示されています。
<< 評価したことのある人における作品評価数の割合 >>
次に、作品評価を一度でも行ったことがある人たちの中で、どれぐらいの作品を評価している人がどのぐらいの割合でいるのかを見ていきたいと思います。
□ 結果
中央値 = 3
□ 考察
作品評価をしたことがある人に絞った解析では、中央値が「3」となっていることからも分かる通り、全体としてみれば複数の作品を評価した人の方が多いことが分かります。
なお平均が中央値から大きく離れていることや、標準偏差がかなり大きいことから『作品評価数は個人差がとても大きい値である』ということがうかがえます。
<< ここまでのまとめ >>
XID保有者のうち、作品評価を1度でも行ったことがある人の割合は24%
大半の人(76%)は作品評価を一度も行ったことがない。
作品評価をしたことある人に絞ってみれば、複数の作品を評価した人の割合の方が多い。
評価した作品数はかなり個人差がある値であると言える。
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<< 禁断の追加分析①:『ブクマ公開 × 評価した作品数』 >>
さらに追加で前回行った「ブクマ公開の有無」と今回行った「作品評価の有無」の関係をクロス集計によってみていきたいと思います。
□ 結果
□ 考察
「ブクマ公開の有無 × 作品評価の有無」の割合を見てみると、最も多いのは『ブクマ1以上公開かつ作品評価0』の人の割合でした(55%)
一方で、逆の『ブクマ公開0かつ評価作品あり』の人の割合は最も低く3%となっています。
これらのことからは『ブックマークはしても作品評価はしていない人が大半』というXID保有者の行動の実態が見えてくると思います。
R18サイトに限らず、なろう本家にも言える事かもしれませんが、作品に対してブックマークを行うことに比べて、ポイント評価を行うことのハードルはより高いと言えそうです。
<< ここまでのまとめ >>
XID保有者のうち、過半数(約55%)は『ブクマ1以上公開かつ作品評価0』の人々である。
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<< 禁断の追加分析②:『作者』における『ポイント評価の有無』の割合 >>
最後に、作者・読み専ユーザー別に『一度でもポイント評価を行ったことがある人の割合』について見ていきたいと思います。
作者はポイントに対する「受益者」としての側面を持っており、自分自身が読者から与えられるポイントに一喜一憂している存在です。
そのため作者は読み専ユーザーより、より積極的にコミュニティにコミットしている存在であると言えますがその実態はどの様になっているのでしょうか
□ 結果
□ 考察
作者と読み専ユーザーを分けた集計では、作者の方が読み専ユーザーに比べて作品評価経験ありの割合が4%ほど高く、読み専ユーザーと比べてやや作品評価を行っているという事がわかりました。
◇
ただこの4%という数字が大きな違いと言えるのかどうか言えば微妙です。
そもそもの割合で見れば『X作者のうち7割の人は作品評価経験が1つも無い』というのが実態なのです。
<< ここまでのまとめ >>
作者と読み専ユーザーでは、作者の方がやや作品評価経験ありの割合が大きい。
ただ『X作者の7割は作品評価を行った経験が1つも無い』というのが実態。
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<< 今回のまとめ >>
今回は『作品数』や『評価した作品数』などの観点からXID保有者の実態について見てきました。
あらためて今回は分かったことしては
・XID保有者のうち作品を1つでも公開している作者は6%(読み専ユーザーは94%)
・作者のうちでも1作品のみ投稿に留まっている作者が大半を占める
・作品評価を1回でもしたことある人は24%(76%は作品評価未経験)
・作品評価したことある人に絞って見てみれば、複数作品を評価した人のほうが多い
・評価した作品数はかなり個人差がある値である
・XID保有者のうち、過半数(約55%)は『ブクマ1以上公開かつ作品評価経験0』の人々である
・作者と読み専ユーザーでは、作者の方がやや作品評価経験ありの割合が大きい
・ただし『X作者の7割の人は作品評価を行った経験が1つも無い』というのが実態。
などでした。
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<< 次回予告 >>
いよいよ禁断の『XIDユーザ名調査』
・えっ名前被りは○○%もいるの!?
・もっとも多いのは『○○』さん!?
・知られざる『あ』の一族の実態とは!?
などなどっ! 内容盛りだくさん!
乞うご期待っ!