第十五話 禁断のXID分析―『退会ユーザ割合』『通常マイページへのリンク割合』『ブクマ公開割合』
前回に引き続き、XIDの観点から『なろうR18サイトユーザーの実態』に迫っていきます!
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<< 『退会済みアカウント』の割合について >>
まず最初に『XIDにおける退会済みアカウントの割合』について調べて行きたいと思います。
アカウントの状態には大きく分けて『アクティブな状態』と『退会済み』の2種類の状態が存在します。
前回のXID発行総数の計算で、XIDは34万4007個が発行済であるという結果になりましたが、この数には退会済みアカウントも含まれています。
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一度退会済みになったアカウントは再使用することができませんので、退会済みアカウントをユーザ数に含めるのは適切ではないということは言うまでもありません。
なのでより正確にR18ユーザの実態を把握するためは、XIDにおける退会済みアカウントの割合を知る必要があります。
□ 方法
今回は前回の計算で明らかとなった、調査開始時点における全発行済XID 34万4007件を対象に、スクレイピングを用いて全数調査することにしました。
□ 結果
アクティブ状態 33万3714(97%)
退会済み 1万0293( 3%)
□ 考察
発行済XIDのうち、全体の約3%のアカウントが退会済みとなっていることが分かりました。
逆にいうと97%のXIDはアクティブな状態にあるようです。
またこのことから、Xサイト投稿作品に対してブックマーク・ポイント評価などが行える潜在性を持った読者は現在33万3714人いることが明らかとなりました。
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<< 『退会理由』の割合について >>
次に『退会理由』について見ていきたいと思います。
これは退会済みXIDのX作者マイページにアクセスした時に表示されるエラーメッセージを収集し、退会理由別に分類したものです。
エラー表示例:
□ 結果
エラーメッセージの内訳:
□ 考察
退会理由について見てみると、最も多いのはユーザ自身による「自主退会(79%)」であることが分かりました。
このことから、XIDの主な退会理由は「自主退会」であることが明らかとなりました。
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また「規約違反」ということが明記されている「運営削除」は1499アカウント(14.6%)という事もわかりました。
運営削除の場合、具体的にどの規約に違反したのかの理由について明記されないことがほとんど(99.9%)の様ですが、初期の頃に取得されたアカウント(a番台)に1件だけ規約違反の内訳が記載されたものがありました。
初期の頃は運営削除の手順がまだ定まっていなかったのかも知れません。
ちなみに唯一記載がある「利用規約第14条11項 (ウ)」は
11.テキスト等の情報を投稿する行為に、次に掲げる内容の情報が該当する行為。
(ウ) 真否についての事実確認が困難な内容や虚偽の内容の情報。
です。*1
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退会理由の約6.5%を占めるのが「このXユーザIDは存在しません。」と表示される「退会理由不明」ですが、このメッセージが表示されるのはd番台のアカウントまでとなっています。
なのでおそらくこれも初期の頃に何らかの理由によって自主退会したか、あるいは削除されたXIDであると考えられます。
□ 全体の割合
最後に全体の割合についてみてみると、運営削除IDはごく少数であることが分かります。
運営削除は度々話題となることもあり「なろうと言えばBAN」というイメージを持っている人も多いかも知れませんが、XIDにおいて運営削除と明確に分かるXIDはたった0.4%だけというのが実態の様です。
<< ここまでのまとめ >>
現在アクティブなXIDは33万3714人(総発行XIDのうちの97%が健在)
退会理由としては「自主退会」が最多(総発行済みXIDのうち2.4%)
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<< 『通常マイページへ』のリンクを有効にしている人の割合 >>
次にX作者マイページで『通常マイページへ』のリンクを有効にしている人の割合について見ていきたいと思います。
この『通常マイページへ』のリンクを表示するかどうかは、XID取得の際に表示・非表示を任意に選ぶことができます。
表示例:
選択方法:
※なおこの選択は、いつでも選択し直すことが可能です。
通常マイページへのリンクを非表示に設定することは「身バレを防ぐ」というメリットがある一方で、通常マイページへの導線が絶たれるというデメリットもあります。
さて、みなさんはどちらの方をより多く選択をしているのでしょうか。
□ 結果
表示 18万7415(56%)
非表示 14万6297(44%)
※アクティブなXID 33万3712件を対象に集計しています
□ 考察
『通常マイページへ』のリンクを有効にしている人の割合は56%であることが分かりました。
このことから『通常マイページへのリンクを表示している人の方が多数派である』というXIDの知られざる実態が明らかとなりました。
『表』の方では『裏』での活動を公言していない人の方が多数派だと思われますが、
『裏』の方から見れば『表』での活動を別に隠していない人のほうが多数派であるのが実態の様です。
<< ここまでのまとめ >>
『通常マイページへ』のリンクは『表示を選択している人の方が多い』というのが実態。
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<< 『ブックマーク』を1つでも公開している人の割合 >>
最後に「ブックマーク」を公開している人の割合について示していきたいと思います。
なろう系サイトにおいて「ブックマーク」は他者に公開するか、非公開にするかを自由に選択することができます。
若干のプライバシーが含まれるといえるX作品へのブックマークですが、公開設定にしている人は一体どのぐらいの割合なのでしょうか?
□ 方法
ブクマが公開されていない人の中で、ブクマ自体が0なのか、全部非公開設定にしているのかを調べることは残念ながら出来ません。
なので今回の検討では「ブックマーク公開0」と「ブックマークを1つ以上公開」という2グループにざっくりと分けて検討していきたいと思います。
□ 結果
1つ以上公開 25万4127(74%)
公開0 8万9880(26%)
□ 考察
ブックマークは1つ以上公開状態にしている人の方が多数派であるというのが実態である様です。
通常マイページへのリンクに引き続き、ブックマークも1つ以上公開にしている人の割合の方が多いという結果になりました。
もしかしたら裏での活動を『別に隠していないし』という人の方が意外と多いのかも知れませんね。
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<< 今回のまとめ >>
現在アクティブなXIDは33万3714人(総発行済みXIDのうちの97%が健在)
退会理由で最多を占めるのは「自主退会」(総発行済みXIDのうち2.4%)
Xマイページにおける『通常アカウントへ』のリンクは表示している人の方が多い(56%の人がリンクを表示している)
ブックマークも1つ以上公開状態にしている人の方が多い(74%の人が1つ以上のブクマを公開している)
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<< 次回予告 >>
XIDにおける
・作品数(XID保有者の作者割合)
・評価数
・禁断のユーザ名調査
など!
乞うご期待っ!
なろう通常アカウントとの比較は一通り終わってからやりたいと思います(もし需要があれば)
(Q.需要?需要ってどうやったら分かるの?)
(A.感想・ブクマ・ポイんっ!などっ!)
*1 利用規約 https://syosetu.com/site/rule/
誤字がひどかったので全体的に見直しました(2019/6/20 21:30)