第十一話『禁断の♡百合市場分析♡』
<< 前置き >>
多くの人はX作者さんたちは悩んでいると思います。
『百合作品は何処に投稿するべきだろうか?』
……という事にっ!
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なろうR-18サイトにおいてBLは『ムーンライトノベルズ(BL)』という専用の場所が設けられている一方、GL要素を含む作品を投稿する場所は明示されていないと言うのが現状です。
そこで今回は、サイトごとの『百合作品の投稿作品数・率』および『百合作品・非百合作品の獲得ポイントの比較』によって、なろうR-18サイトにおいて百合作品がどこに投稿されていて、どういう風に評価されているのかということの実態を見ていきたいと思います。
また、主に見たいのは百合についてですが、ついでにBLについても合わせて検討していきます。
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【サイトごとの全投稿作品における百合作品の投稿作品数】
□ 方法
今回使用データはこれまでに引き続き2019年05月04日に全数取得した物を用います。
―百合作品・BL作品の定義について―
今回はなろう18禁APIで取得できる"isgl"および"isbl"のパラメータを使用します。
このパラメータは作者が作品投稿時、登録必須キーワードである「ガールズラブ」「ボーイズラブ」にチェックを入れているかどうかのフラグとなっています。*1
[ 結果 ]
□ 考察
作品数で見ると『ノクターンノベルズ』が最も多く「2973作品」となっています。
また比率で見ても『ノクターンノベルズ』に投稿された一割弱の作品が百合要素を含む作品であることから、なろうR-18サイトにおける百合作品の最大市場は『ノクターンノベルズ』であると言えそうです。
同様に、『ミッドナイトノベルズ』では作品数こそ少ないものの、サイト投稿作品における百合作品割合は『ノクターンノベルズ』と同じ12%であり、これらのことから『百合作品投稿は女性向けサイトより男性向けサイトの方が多いらしい』ということがうかがえます。
<< ここまでのまとめ >>
百合作品の最大市場が形成されているのは『ノクターンノベルズ』
百合作品の割合は、女性向けサイト(ムーンライトノベルズ)より、男性向けサイト(ノクターンノベルズ・ミッドナイトノベルズ)の方が多い。
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【 百合作品のポイント数について 】
次に、百合作品がどのサイトでどの程度のポイントを得ているのかということを分析していきたいと思います。
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なろう系サイトにおいて『ポイント評価ボタン』および『ブックマーク』によってもたらされる『ポイント数』は、その作品に対する『読者の反応』を示しています。
一般的により多くのポイントを獲得している作品ほど、より多くの読者に読まれていると解釈できます。
作品の社会的評価を見る上で便利なポイント数ですが、これまでの考察で見てきた通りポイント数の相場はサイトによって異なるため、単純に並べて比較することはできません。
なのでここでは各サイトごとに『百合あり作品』『百合なし作品』でそれぞれのポイント獲得状況についてみていきたいと思います。
□ 方法
投稿作品を『百合あり作品』『百合なし作品』に分け、サイトごとに層別化ポイント数の割合を示す。
[ 結果&考察 ]
『ノクターンノベルズ』では『百合あり』作品の方がポイ0率は低く、また100-999、1000ポイント以上作品の割合も大きくなっています。
このことから『ノクターンノベルズでは百合あり作品が肯定的に評価されている』という実態が分かります。
『ムーンライトノベルズ(女性向け)』ではノクターンノベルズと真逆の結果になっています。
このことからは『ムーンライトノベルズ(女性向け)において、百合あり作品は少なくとも肯定的な評価は受けていないということが言えるかと思います。
『ムーンライトノベルズ(女性向け)』では百合あり作品であることが、ポイントを得るという視点で見ると、少なくとも有利にはならないということです。
『ムーンライトノベルズ(BL)』における百合あり作品は134作品(全体の約1%)とごく少数なので、あまり参考になるデータではりませんが、傾向としては『ムーンライトノベルズ(女性向け)』と同様の様です。
最後に『ミッドナイトノベルズ』の結果について見てみると、ノクターンノベルズと同様の傾向を示していることが分かります。
このことからは『ミッドナイトノベルズにおいてもノクターンノベルズと同様に百合作品は肯定的に評価されている』ということが言えるかと思います。
<< ここまでのまとめ >>
『ノクターンノベルズ』および『ミッドナイトノベルズ』では『百合あり作品であることが肯定的に評価されている』と言える。
一方で『ムーンライトノベルズ』においては百合なし作品の方がより多くのポイント数を得ている傾向にあり、百合あり作品であることがポイントの観点から見て「少なくとも有利にはなっていない」ことが窺える。
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【 追加分析:BL作品について 】
これまで百合作品についてみてきて、『百合市場が形成されているのはノクターンノベルズ・ミッドナイトノベルズなどの男性向けサイト』であるということが分かりました。
あと一応、BL作品についても少しだけ触れておこうと思います。
BLは『ムーンライトノベルズ(BL)』という専用の場所があるものの、必ずしもBL要素を含む作品はそこに投稿しなければならないという訳ではなく、他の場所に投稿することも出来ます。
[ 結果 ]
□ 投稿作品数
投稿作品数をみると、やはりBLの最大市場は『ムーンライトノベルズ(BL)』であることが分かります。
R-18サイト全体の百合作品数と比べても圧倒的な多さと言えます。
□ 層別化ポイント数の割合
ポイント数の観点から見れば、『ムーンライトノベルズ(BL)』ではBLあり作品が肯定的な評価を得ているようです。(というか、わずかに存在するBLにチェックが入っていないムーンライトBL作品は一体!?)
『ノクターンノベルズ』『ムーンライトノベルズ(女性向け)』では少なくともBL要素を含むことが有利とはなっていないようです。
『ミッドナイトノベルズ』についてはBLあり作品の方がポイ0率がやや低いものの、全体としてはそれほど差は見られないようです。
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<< 今回のまとめ >>
今回の検討の結果『なろうR-18サイトにおける最大の百合市場はノクターンノベルズである』ことが分かりました。
『ノクターンノベルズ』では百合要素を含む多くの作品が投稿されており、またそれを求める読者も多くいることが推察できます。
また全体的な傾向としては百合作品は男性向けサイトに多く投稿されており、BL作品は女性向けサイトに多く投稿されている実態も明らかとなりました。
もしかしたら異性の同性愛を求めている読者さんが多いのかも知れませんね。
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<< 次回予告 >>
禁断の『感想件数』分析っ!!
なお『男性向けの百合作品』と『女性向けの百合作品』では若干内容が異なる気がしますが、今回の検討では内容の”質”的な部分については触れていません(健全なので)
質的な部分についてはいずれまたどこか別の場所で検討したいと思います♡
*1
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