薄明
掲載日:2018/05/31
ボンヤリと、空が紺色になる。
夜警をしている俺は、この瞬間の空気が好きだ。
誰もいない建物の中で、誰も来ることがないこの時の、なんともいえない瞬間が。
空がますます光降り注いでくると、夜明けが来る。
でも、日が明け切らないうちの、薄明と呼ばれる時期が一番好きだ。
空はこの時だけは自分が知らない色を見せてくれ、街明かりがゆっくりと消えていく。
その中で、まるで世界は俺一人だけで回っているような錯覚が襲う。
一瞬不安を覚えるが、鳥が鳴き出すと、その気持ちが安心へと移る。
だから、俺は薄明の時間が一番好きだ。




