沈黙
2話目です!
すいすいと進んでいけそうです。
最後まで読んで貰えたら嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
国立科学技術高等学校。
神奈川県北部に設置されている、能力による技術の発展を目的とした国立学校。専門学校では無いものの、卒業生は主に技術者や能力に関する職につくものが多い。
超能力を育成する高校は極めて少なく、日本には8校しかない。その中の1つである。
また国立のため、とても優秀な人材が集まる、エリート学校である。
まともに学校に行っていなかった広翔にとって場違いな場所だ。
「ぇー、あの、美咲広翔です。よろしくお願いします。」
声が震え、生徒に聞こえているか分からないくらいの小ささだった。
教室にいる全員の生徒の視線が自身に集中しているのがよく分かる。
怖くてついつい下を向いてしまう。
「えー、なんとですね、なんと!美咲くんは能力検定Sランクです!」
先生がそう言うと
…
静かだった教室がさらに静かになった。
驚くほど驚いていた。みんな目が見開き、化け物を見るかのような目でこちらを見る。
「…Sランク?…うそだろ?」
そんな声が教室の後ろの方から微かに聞こえてきた。
この教室が一瞬で氷ついたようだった。
先生は1回咳払いをして、
「えー、ではこの後は移動教室なので、広翔くんをみんなで連れてって下さいね。」
先生の声が響いた。
ホームルームが終わり、みんなについて行こうと教室を出ると、
お祭り騒ぎになっていた。
「おい!Sってホントかよ!おい!」
歓喜余って男女問わず駆け寄ってくる。そして、いつのまにか包囲されていた。
「どっから来たの!?」
「なんでこの学校に来たの!?」
など、無防備に質問が飛び交った。
(Sランクってそんなに凄いの?)
確かに能力検定では良い結果だった。
ただデバイスに手を乗せて、念じただけのテスト。
単純かつ迅速に終えたテストだったが、そこにいた検定官は少し嬉しそうだった。テストが終わった後に不思議な金のメダルと賞状を貰えた。
広翔にとって能力なんてどーでもいいものだった。
強い能力があっても、人は死ぬときは死ぬのだから。
教室を移動している時でも、広翔は質問攻めに遭っていた。
「どこの高校にから来たの?」
「いや…高校は初めてで…」
「えっ、じゃあ中学はどこだった?」
「え…、中学は…」
中学校も行っていなかったが、本能的に言えないと思った。
「どこ?」
「…南の方から…」
「南?南中学?へー割と近いんだ?」
「…あ、…ぅん」
勝手に話が進む。広翔は緊張と恥ずかしさで脳がパンクしそうだった。
「でも、美咲って言う苗字聞いたことないんだけど。お母さんの苗字は?」
超能力は遺伝子に大きく影響することがよく知られている。親が能力者だと子も能力者になるらしい。
「お母さん…知らない」
と言うと、申し訳なさそうに
「あっ、ごめん、変なこと聞いちゃったか。」
少し周りが静かになった。
どうでしたか?
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