第四 王国中央政府の組織、その概容
異世界王朝物語の舞台は、国王をトップとする王国です。
国王の下には、輔弼期間としての内閣があります。
内閣のメンバーが「閣僚」、正式名称「内閣大学士」としました。
中国の明をモデルにしております。
国王―内閣という政治職の下に、中央政府があるという制度です。
この中央政府について、平安朝あるいは律令制をモデルにしました。
平安朝、あるいは律令制では、「太政官と神祇官が分かれていた」と。
そのように、むかし学校で教わったのですけれど。
実際には、「八省」のみならず「神祇官」も「太政官」の下に置かれていたようです。
太政官のメンバーが、(摂政・関白、)太政大臣、左大臣・右大臣・内大臣、大納言・権大納言、中納言・権中納言、参議。
ここにあたるものを、異世界王朝物語では「内閣」と称しています。
(弁官局と少納言局は、別立てとしました)
律令制ではその下に、令制官としての「八省」と、「令外官」、「神祇官」が置かれています。
異世界王朝物語ではそれぞれ、「外朝」、「内朝」、「典礼庁」と称しています。
太政官の下部組織で八省を統括するのが「弁官局」、天皇の私的秘書局が「蔵人所」。
これもほぼそのままモデルとしました。
「外朝」を統括するのが「弁官局」、「内朝」を統括するのが「蔵人所」としました。
もうひとつ間に立つ機関としての「少納言局」も、本編でいずれ紹介いたしますが。
これもやはり、平安朝をそのまま引き写しました。
弁官局と蔵人所は、政官の間に立つ重要官庁ですが。
少納言局は二つの役所が決めた内容を清書し、書き写し、通達する機関。
「コピーセンター」、「文書配達担当」的な扱いにする予定です。
平安朝では、八省の長は「卿」(きょう/かみ)です。
異世界王朝物語では、その上に「尚書」を置きました。これを「次官級」と称しております。
必然的に「卿」は格が一つ下がり、「局長級」。
平安朝では「かみ」はひとり、「すけ」は大少各1~2名とされています。
異世界王朝物語では、かなり人数を増やしました。
各省「卿」は数人、「すけ(大)」は5~10人、「すけ(少)」は、20人ぐらい?のつもりでおります。
「八省」も、名前・役割とも、平安朝をそのまま借りております。
左弁官局所属
中務省 ≒ 総務省
式部省 ≒ 人事院 兼 文部科学省
民部省 ≒ 財務省
治部省 ≒ 外務省 兼 宗教担当 兼 貴族の家庭裁判所
右弁官局所属
兵部省 ≒ 国防省
刑部省 ≒ 法務省
大蔵省 ≒ 理財局
宮内省 ≒ 宮内庁
ではありますが、異世界王朝物語では、弁官局を左右に分けない後期型(?)を採用しました。
「弁官局の中に、官職として左右がある」方式です。
弁官局≒内閣府
蔵人所≒内閣官房
というイメージにしました。
蔵人所に統括されている役所として。
近衛府 ≒ 平安朝の六衛府
春宮坊 ≒ 平安朝と同じ。太子周りの事務を扱う
左右京職 ≒ 都庁 兼 警視庁
弾正台 ≒ 特別検察庁
などをイメージしております。
なお、近衛府の下に「馬寮」、「検非違使庁」というつくりも、平安朝をコピーしました。
ほかに、「平安朝には全く存在しない役所」もいくつか設定しております。
アサヒ家、セキヨウ家、南冲家が仕切る「刑事裁判所」。
厚生労働省に類似した「護民局」などです。
以上の組織については、文章よりも、図の方がわかりやすいかと存じます。
律令国家の組織図については、「日本の歴史学講座」というサイトの、「律令官位事典」
http://kitabatake.world.coocan.jp/kanialltop.html
が、分かりやすいです。
律令国家における各省庁の仕事については、「官制大観 律令官制下の官職に関わるリファレンス Ver.0.8」というサイト
http://www.sol.dti.ne.jp/hiromi/kansei/index.html
が、分かりやすいです。
参考にさせていただきましたことにつき、感謝を申し上げます。