第二 主人公の身分について その2 ~「武家の棟梁」のポジでもあります~
もうひとつ、いま書いているあたりに関連するところとしては。
「左馬頭(典厩)の扱い」を意識しておりました。
『源氏物語』第二帖、「帚木(雨夜の品定め)」では、「女性経験豊富な中年男性」として描写されています。
「光る源氏の君」と「頭の中将」の脇に追いやられた、助平親父。
「ジャパ○スク」でも、「政権非主流派にくすぶっていて、クーデターを企てるさえない助平親父」という役どころでした。
でも、「クーデター派に、武官の左馬頭」という怖さは、やっぱりあったかも。
……では、ありますけれど。
実のところ、左馬頭(典厩)って、かなり偉いハズなんです。
光る源氏の君や頭の中将と同席できるんですから。
時代が下って戦国時代ともなれば、武田信繁(信玄の弟)あたりが受けていますので、やっぱりあんまり偉いイメージはないのですけれども。
平安時代であれば、源義朝(頼朝の父)が就いていた、「源氏の棟梁」のポジションです。
その少し後、平清盛や源頼朝が就任したのが、兵衛督です。
「異世界王朝物語」では、「近衛小隊長(兵衛担当)」と位置づけております。
まさに、現在の主人公のポジションです。
やっぱりけっこう「えらいさん」、王子様ポジでしょう?
(大事なことなので二度ry)
ちなみに源義経が後白河法皇からもらって兄・頼朝に怒られたのが検非違使大尉、いわゆる「判官」。
「異世界王朝物語」では、ティムル・ベンサムをその位置につけました。
主人公の最初の地位を「右馬頭」(左馬頭よりも、少し下)にしたのも、この辺のイメージによります。
左馬頭には、「さえないおっさん」というイメージがどうしても付いて回りがちですので、その次席。
若手っぽさをイメージした、右馬頭。
アリエルのような上流貴族(「ジ○パネスク」の瑠璃さんよりは、少し下あたりの地位)から見れば、「さえないポジション」です。
中年で左馬頭・右馬頭の椅子に座っているのは、(上流貴族としては)窓際族。
でも初任なら、「上流貴族から見ても、まあまあ」ぐらいのところで。
軍人貴族(≒武士)からすれば、憧れのポジションで。
庶民から見れば、もうこれは天上の人。
その偉さを表現したくて、「駒牽」エピソードを挟んだわけであります。
主人公のいわゆる「表芸」たるべき「お役所仕事」を書く、という目的もありましたけれど。
と、つらつら書いてまいりましたが。
感想でしばしばいただいておりますところの、「主人公の扱いが悪すぎる」という問題は、私的な友人関係周りについてのご指摘。
「友人には叩かれていても、社会的地位は結構偉いんだから良いじゃないですか」という私の反論は、論点をずらすものでありました。ゴメンナサイ。
友人から叩かれているシーンは、じゃれあいだと思っていただきたく!
どうぞお願い申し上げます。
次回は官界の全体像にするか、ユースフ・ヘクマチアルの元ネタにするか。
いずれ、どっちも書くわけですけれども。
少し迷っているところであります。