ハーレムな後輩を見守る自称極普通な彼女持ちの先輩の日常。
去年上げようかと思って書こうとしてたらいつのまにか年明けてました。ハーレムが分からなくてずっと悩んだのに大したハーレム展開浮かばないんですね。はい。本当に短くなりましたが、完成はしたのでどうぞ
一般的高校生な俺は俺TUEEEとかご都合主義とか言われる小説が大好きだ。これらのものは夢を与えてくれる。貧弱で情けない自分とは対極の主人公に入り込んで、得られる爽快感、どんなに劣勢で危険な目にあっても決して大切な物は失わないご都合主義の安心感、性格がよく、すぐ照れる可愛らしい美少女に囲まれキャッキャウフフフな生活を夢見るハーレム。どれも素晴らしい。見てるだけでも大満足だ。人生と言う名のクソゲーを淡々とこなす中で誰でも字を読むだけで夢に浸ることができるのだ。こんな世に生まれた現代人は皆幸せ者だろう。でも、そんな中で自分は特に幸せ者だと思う。
だって……
「あんた放しなさいよ!」
「そっちこそ放してみてはいかがですか?」
「まぁまぁ、落ち着こうよ二人とも」
「あんたもよ!なんでおぶられてるわけ!」
「と、とりあえず、離れて……」
「嫌よ」「嫌です」「ちょっと無理かな」
3人の美少女が一人の男を取り合っている。両腕に豊満な胸を押し付けたり、首に細い腕を絡めて背中にのしかかったり、うん。まさにテンプレートなハーレムです。はい。
なんで俺が幸せものか分かって貰えただろうか?そう、俺にはまんまテンプレートなハーレムが身近にあるのである。
ここは吹奏楽部が放課後使っている教室だ。俺の高校は吹奏楽部が大人気で部屋数が足りず、結果的に人数の少ない俺が纏めてるトロンボーンはこの部屋を使っている。そこの教室の隅でイチャイチャしてる4人は俺の後輩だ。トロンボーンは俺とそこの4人ともう一人、今はいないが俺と同級生の女の子がいて、計6人と少ない。
「おい、お前らイチャついてないでさっさと片づけすませろー」
なかなか片づけが進まないので後輩達の仲裁に入る。まあいつものことである。
「ほら、一之瀬。乗っかってないでさっさと動けよ。勇太が動けないだろ」
「はーい」
勇太こと少年の上背中にのしかかっていた一之瀬が渋々降りる。
「仙崎に鳳凰院もだ。勇太の手に掴まってないでさっさと手を動かせ、19時までに校舎でないと怒られんだから早くしてくれ。」
「ふん!」「すみません先輩」
ツンデレっ子こと仙崎もお嬢様鳳凰院も素直に手を離して片づけを始めた。
「やっと解放された……。」
美少女3人から解放され、脱力して座り込んだ勇太に俺は近づいていくと右手で勇太の頭を掴みアイアンクロ―を決めた。
「お前もさっさと片づけんだよ、勇太。19時過ぎたらお前の責任ってことにするからな」
「ちょ、先輩!19時って後5分じゃないですか!無理です、無理!絶対無理!」
「アホか。お前が美少女侍らせてイチャイチャしてるから悪いんだよ。分かったらさっさと片づけしろ。責任って言っても俺と一緒に職員室に行って頭下げるだけだ。簡単だろ?」
「それって、完全に俺が原因みたいじゃないですか!」
「いや、現にお前が原因だろ。」
「いや……確かにそうですけど……あれは不可抗力であって決してわざとでは……。」
「知らん。美少女侍らせてる時点で爆ぜてもいいぞ。まあ、なんでもいいから手動かせよ。俺は先生に報告行ってくるから。」
「先輩の方が絶対爆ぜるべきだと思いますよ……顔はいいし、彼女いるし。」
俺は後輩達にそう言って職員室に向かった。勇太が最後になんか言ってた気がしたけど別に大したことじゃないだろうしいいだろう。
職員室に行って顧問の先生に練習の報告を済ませる。冷え切った廊下を歩きながら窓の外を見ればもう夜の帳は降り切って冬の寒空には星々が輝いていた。
寒々しい景色を見て早く帰ろうと足を速めつつ、廊下を進み教室のある階にたどり着く。教室からは悲鳴やら怒号やら……まあいつものことである。階段から廊下に出ると見慣れた人物が教室の前に立っていた。
整った小さな童顔に特徴的なやや吊目の青い目、スタイリッシュな細身のスタイル。彼女はトロンボーン担当で俺と同じ2年の榛原 柚希。ついでに言えば俺の彼女である。さっきは部活で使った器具を片づけに音楽室に行っていなかった。
「お疲れ様、柚希。どうかした?」
俺が声をかけると柚希はびっくと肩を震わせるとこちらに振り向いた。
「え、ええお疲れ様。」
急に声をかけられて驚いたのを隠そうとしてるのかな。その視線ずらしながら平然を装うの可愛い。まあ、柚希可愛いのはいつものことだからそれはともかく、何を見てたのかなと教室の中を覗く。
「ちょっとど、どこ触ってんのよ!」
「うふふふ、私は気にしませんよ?」
「大胆だねぇ~君は」
教室の中では2人の美少女の胸に倒れるような形で両手で二人の乳房を片方づつ触り、あろうことか頭にも美少女が乗っている、頭ごとスカートで隠れて勇太の顔は見えない。
うん、何がどうなったらこんな小説みたいな展開にリアルで実現できるんだろう。やっぱ、この後輩達面白れぇ……。
俺は一人、ニヤニヤと後輩のハーレムを眺めていると、横から視線を感じた。ふと横を見ると柚希がジーっとこちらを見ている。
「えっと……」
俺が言葉に詰まると柚希はそっぽを向いて頬を膨らませた。なにこの生き物可愛い。
「どうかされました柚希さん……?」
「私の彼氏はあーいうのが好きなんだと思って」
あーいうのってハーレムか。
「まあ、好きだね」
「むぅ…」
またそっぽ向いた。やきもち焼いてくれてるのか、うん、この彼女やっぱ最高。やきもちなんて彼氏冥利に尽きる。でも柚希はどうにも重大な勘違いをしているようだ。
「好きだけど、別にハーレムを作りたいとは思わないかな。見てる分には面白いけど勇太のみてるとな……。女子に乗られて怒鳴られて、耳元で悲鳴は勘弁だ。それに……」
そっぽを向いてる柚希を後ろから抱きしめ、耳元で囁く、
「こんなに可愛い彼女がいるのに他の女の子に興味が湧くわけないだろ。」
「……うん。」
柚希は耳を真っ赤にして俯いた。結論、やっぱり俺の彼女は滅茶苦茶可愛い。
「「「「うわー」」」」
教室から後輩達の呆れた声が聞こえてた気がするけど気にしない。とりあえず、今日はもう遅いし、早く、残りの片づけ済ませて帰ろう。
俺は今だ俯いて動かない柚希をそっと放して、教室の中に入った。
「お前らいちゃついてないでさっさと片づけて帰るぞー」
ハーレムな吹奏楽部員のごく普通のどこにでもいる可愛い彼女持ちの先輩こと俺の日常は続いていく。
俺は幸せ者だ。
あまりにもプロットから逸れてるのでまた書きなおすかも、先にHAKの方の作品を書くのでいつになるか分かりませんが……