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パツラムとンベケケ

作者: NOZON

 或る岩場に小さい者、パツラムが住んで居ました。植物の根を齧り、清流を啜り、岩の陰に潜んで過ごして居ます。望月が輝く或る夜の事です。一匹の大きな者、ンベケケが其の岩場を訪れました。肉を喰らう者、ンベケケは寝静まる者、パツラムの匂いを吸い込むと鋭い双眸を瞬かせ、岩場を蹴散らしました。幾星霜も前から其処に然う在った岩も凶暴な者、ンベケケに抗えず次々と吹き飛ばされて行きます。望月が僅かに傾く事すら無い儘、岩場は平地へと化して怯える者、パツラムが残されました。

 其れから速き者、ンベケケは遅き者、パツラムを薙ぎ倒し、噛み砕き、呑み込んで行きました。悲痛な絶叫すら貪食の者、ンベケケに飲み干されて終います。然し乍ら一匹の賢しい者、パツラムが蹴散らされた岩の陰に潜み、猛毒を蓄える草を握って居ます。先程、暴れ狂う者、ンベケケが蹴り飛ばした岩石に殺された仲間の死体へ其の草を捻じ込み、渾身の力で放り投げました。

 未だ数多の獲物を追う者、ンベケケは其の死体が地面へ打ち付けられる前に咥えて呑み込んで終います。然し乍ら強き者、ンベケケは猛毒すら栄養と為て終うのです。無知な者、パツラムは希望と共に食べ尽くされて終いました。

 望月の照らす平野に於いて。

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