きつね
少しでも涼しくなりたいと、近所の神社を通過しようとしたら、鳥居の横にひどい物がいた。
「こぁー…」
うっわ狐だ。狐が溶けてる。暑いしね。都心部最強の暑さなこんな地域だしね。無視して通ろうとしたら、助けを求められた。
「そこなおぜうさん。助けて下さいまし」
喋った…。しかも、口調も溶けてる。味噌汁の具で買った油揚げ渡せばいいかな。
「…そんな油抜きもしてない様な…」
お気に召さないらしい。最近の狐はグルメだ。とりあえず暑いというので、御手水でバシャバシャしたけど、足りないみたいだから抱えて手洗い場の水に浸けておいた。
「あーいぎがえる」
あ、自分こんな者ですと言って、びしょ濡れになった名刺を渡された。酷い…。濡らしたのは私だけどマナーがなってない。とりあえず名刺によると、いちおーここの偉い狐らしい。御布施がわりに溶けかけ食べかけのアイスを上げたら喜ばれた。
後日、そこの神社によってみたら、くたびれた中年の尻尾出したおじさんがいたから、せめて可愛い狐っ娘にして、萌え神社にでもしちゃえと提案しておいた。
最近は神社もゆるいみたいだ。
多分、狐も存外人間社会にまみれてるんだろーなーと思いながら書きました。タヌキはよく我が家の庭を荒らしにきます。