表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

マヌケな船長と被害鹿たち

 ある森のある午後、動物たちは元気に森を駆け回り、風が吹き、鳥がさえずっていた。

何も変わらないある森の午後・・・ではなかった。ふいに、歩いていた鹿の群れが立ち止り、警戒態勢に入る。がさがさという音と、低い音が近くなってくる。鹿たちが焦り始めたころ、がさっという音がして一人の少女が低木の茂みから出てきた。その少女は、鹿たちに気が付くと、興味津々の目で観察し始めた。どう見ても害のなさそうな少女がこちらをじっとみつめるので、鹿たちは、ますます焦った。見つめあっててもしょうがないと思ったらしく少女は唐突に

「よう、はじめまして。あたしはレナだ。よろしくな。」

と自己紹介し始めた。鹿たちは心の中で、(いや、いきなり鹿相手に挨拶はやめようよ。っていうか、実は中身は男だったりするのかな?)とツッコミを入れた。そんな鹿たちの反応を見事に無視し目をきらきらさせると、

「なあ、海ってこっちか?あたし、方向音痴でさ。ちょっと探検に来たら、もどれなくなったってわけさ。うちの船員らは問題ないとは思うが、船長のあたしが迷子っていうのは船員にしたら、先が思いやられるねえ…って感じやろうな。」

と一息で言った。それを聞いた鹿たちは、マヌケな船長を観察した。銀色の髪に青色の目を持った美人な彼女は、相当な方向音痴らしく、海とは逆の方向を見て、あっちから来たような気がするなどと言っていた。鹿たちがそろそろと立ち去ろうとしたとき、後ろから「いいこと思いついた!」という声が聞こえ鹿たちは振り向いた。すると彼女―レナは満面の笑顔で鹿たちに歩み寄り、ズボンのポケットから皺だらけになった小さな紙を鹿たちにみせ、

「ここに書いてある通り、あたしは海賊船<ワンダーランド>の船長だ。海まで案内しないと炙って食っちゃうぞ。」

と言った。鹿たちは別にレナを恐れたりはしなかったが、断る理由もないので、レナについてくるように合図をすると、海に向かって歩き始めた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ