第一話 静かな始まりそして高鳴り
フィクションです。名前・団体名等は一切関係ありません。こんな感じ?なんせ初めてなんで。指摘をいただけるとうれしいです。読んでくれると幸いです。
やたらと紅い満月の日…
千葉の高津で産まれてこようとするもの。まだ彼も自分がなんなのかは知らない。生物学的には、人間・男性。
1975年11月7日午前5時55分初め声をあげる。
見えるはずの無いその目ではじめて見たものは、顔の無い少女だった。
京一『ったくよ!内の親マジうるせぇ』
努『ははっ、仕方なくね?お前一人っ子だし、期待してんだろ』
あの日に産まれたもの。(海住 京一)今は18才。となりにいるのが小さい頃からの友人で同じ高校に通う唯一の理解者である。(松本 努)
努『小さいときのお前が、凄すぎたんだよ。今は、完全にその片鱗も見えないけどな』
京一『うるせぇよ』
いつもの公園ベンチに座る二人。タバコを吹かしながら談笑をしていた。
努『最近は、どうよ。その〜なんだ… 悪かったよ。睨むなよ』
努が何を聞きたいのかは京一にわかっている。
京一は、物心がついたとき、いや産まれたときから人には見えないものが見えていた。形容しがたい人には見えないものが。
京一は、3才の時には、小学生並みの読み書きができ小学生になる頃には天才少年と周りがはやしたてていた。親も見えないものが見えてる不自然さに戸惑いながら…。8才の時に親にきいてみた。
京一『ママ、あの飛んでるものは何?どの図鑑にものってないんだぁ』
母『鳥?どれ』
愛しそうに聞き返す母の顔は覚えていない。
京一『目に角やら包丁みたいなのがついてて…ほら今あの人の中に入ったよ』
見たことのない母の顔があった。指を指していた手はすごい勢いで叩かれ。
母『そんな生きもの!いるわけ無いでしょ!気持ちわるい』そのときの母の顔は覚えている
その夜、父にその事を話してみた。
父『ん〜、京がうそをついてると思ったんじゃないかな〜、ママきっと。ただパパも見たことないなぁ』
京一『えー今も目の前にいるじゃん。昼のとはちがうけど目に口がついてるのが』
と父の右肩のあたりを指さす。
父『ははは、京一は想像力が凄いなぁ』
京一『え?やっぱり見えないのパパも?』
父『はいはい。もうわかったから。ご飯できたみたいだぞ』
父の肩に乗ったそのものが静かにすーっと飛んでいく。
京一『ほら!飛んでったよ』
見向きもしないで笑ってる父親の手を引く。父『いいかげんにしなさい!』
その時の父の顔もはっきり覚えている。
誰に話をしても大体同じような事の繰り返しである。
小さいながらに考えた答えが(自分にしか見えてない。自分が見えてるのに。)いつしかもっと擦れた考えになる。(見えない奴と心が気持ちが考えが理解できるわけが無い)自然と親や周りの友人と距離がでてくる。何もおもしろくない。そんな中、努は必要に京一と仲良くしたがった。なぜかは、本人もわからないらし
努『いやさ、最近よく足が痺れるからよ。またいるんじゃ無いかと思ってよ』
京一『いたら取ってやってるだろ!そんな白状もんじゃねぇ』
昔に、努が腹痛で倒れ、救急車で運ばれ医者に急性盲腸と診断されて家の親と一緒に、病院で努の親を待っているときに、努の体に入り込んでる
「そのもの」
をとってやった時に努にはわかったらしい俺が何かしたのが。しつこく聞くので仕方なく話すと意外なほど信じてくれた。正直うれしかった。
京一『ただ最近よ〜。人なんだけどなんか雰囲気が人?みたいなのをみかけんだよな。まぁふつうにしゃべってから周りには見えてっけど』
努『服が透けて見えたらうらやましいけどなぁ』
ミニスカのスタイルのいい女性の後ろ姿を見てニヤニヤしながら言う。
京一『これだ…お前最近タエと別れてからそればっかりだな』努『仕方ないだろ。思春期なんだから。にしても転校してきた高橋 愛すげーよくね』
京一『高橋ねぇ。この時期に転校っておかしくね?タエに言っておくよ』
試しに言って見る。
努『なっなんでだよ!』
京一『別れたんだろ?別にいいじゃん?』
努『いや、あいつが嫌がるからよ〜。勢いでな、つい』
京一『ナニヲ、イヤガルンダイ』
にやにやしながら茶化したように意地悪く言う。
努『……』
京一『悪かったよ。ただ泣いてる女の相談役は勘弁してくれ。つらい』
努『今日、電話する』
京一『ん、そうしてあげなこのままじゃお前と兄弟になりそうだ』
努『はぁ?な、なな何それ?おまうなっ、チッ、お前なんかしたのか?』
京一『シソウニナッタ。なにもしてねっ、あっ熱!タバコ投げんなよ!バカ!あ、ごめんなさい。何もしてません。本当に』
顔赤くしながら。目がやばい。しばらく抱き締めながら慰めたのは、黙っておくことにした。
耳障りなほどうれしそうに受話器から聞こえる
タエ『やったよ!京!ツトムから電話でやり直したいってぇ』
なぜかタエは努のアクセントが変だっなんて事を考えながら適当に相づちをうつ。
タエ『聞いてる?だからお礼に女の子紹介するってぇ〜』
京一『聞いてるよ。前から言ってんだろ。紹介されたら真剣に付き合わなきゃいけなくなるからいいって』
タエ『律儀だよね〜。結構もてるんだからとっかえひっかえ付きあっちゃえばぁ』
(女のお前が言うかと)言いそうになるのを堪え話題をかえるつもりで
京一『それよりさぁ、高橋愛ってどんな子?なんか知ってる?』
言った瞬間にしまったと思う。これじゃ俺が気があるみたいだな。
タエ『ふふ〜ん♪愛ちゃんねぇ〜』
顔は見えないが目がキラキラしてるのがわかる。
タエ『じゃ決まりね!来週の日曜!愛からも京一を紹介してってたのまれたんだぁ』
京一『はぁ?何言ってんだ?』
タエ『じゃ明日ね〜』
ガチャ!何か言おうにも受話器からは無機質なツーツーっとしか聞こえなかった。
頭の中で繰り返す(来週の日曜)京一は心臓が高鳴っていた。それは青春がもたらす青臭い高鳴では無く
「高橋 愛」
人の形をした
「そのもの」
に見えていたから…