第14話 ダメだよ。
校門を出て由乃達と別れる。
私と朔、千雅は同じ方面なので途中まで三人で帰る事にした。
私を真ん中にして舗装された道を駅に向かって歩く。
「夏祭り、楽しみだね〜浴衣着ちゃおうかな〜」
「遥の浴衣、僕は見たいな」
「……。」
会話に足並みが揃わないような、違和感を感じる。
朔と千雅の間に見えない壁があるような、息苦しい。
拓真、さっきこんな気持ちだったのか。
いつまでもこんな空気じゃ、遊びに行っても楽しめない。
覚悟を決めて、二人の喧嘩原因を聞いてみる事にする。
「……二人ともさっきからずっと雰囲気悪いけど、何か喧嘩でもしたの?」
図星なのか、二人の視線が自然と、少し外へ向く。
「何があったか知らないけど、ずっとそんな感じだと周りも気を使うし、ダメだよ。」
「……悪かった。」
「ごめん、遥……」
怒られて少し我に返ったようだ。
「喧嘩するのは仕方ないけどね」
自分の背丈よりも高い二人の肩に、そっと手を乗せ、軽く叩く。
「夏祭り、何食べようね?」
手に二人の温もりがまだ残るまま、帰り道の空気は静かに流れていった。
――――――――――――
約束の夏祭りまで後数日。
私の部屋には服や収納ケースが散乱し、何かを探した痕跡が残っていた。
クローゼットの中は出せるだけ出されて空になっている。
困った。非常に困った。
「んぁー!浴衣見つかんない!」
浴衣をどこにやったか忘れてしまい、探し始めたがどれだけ探しても浴衣が見つからない。
「どうしよう、もういっそ私服で行く?でも由乃達と浴衣着ようって約束したもんなぁ」
悩みに悩んだ末、面倒になり思い切った結論に至る。
「もーいいや、買いに行こ。」
それが最善だった。
最善と言っても、夏祭りまではもう一週間もない。
夏祭りまでは今日以外は全部バイトを入れてしまったので、今日買いに行くしかない。
でも自分の浴衣の為だけに一人で出掛けるのも、なかなかに億劫だ。
「あーめんどくさいぃ……」
私は涼しい部屋に後ろ髪を引かれながらも、灼熱の外へと足を踏み出した。目指すはショッピングモール。
ただ浴衣を買うだけ、それだけのはずだった。




