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炎魄

作者: シキカン
掲載日:2026/04/05


時は戦乱ーー。

各国は戦を重ね、軍にのみ銀が巡り、民は飢饉に喘いでいた。

女が一人、覚束ない足取りで歩いている。足元には飢えて生き絶えた死体が無造作に転がっていた。

女は一体の死体が粟を握っているのに気がついた。

女が小さく呟きながら、死体から粟を抜き取ろうとすると

「うわあああああああ!!!!!」

と、背後からけたたましい叫び声が聞こえ、振り返ると人が燃えていた。

そしてそのさらに後ろには炎を出し続ける人間の姿の妖がいた。

周りのものは「炎魄えんぱく様だ」「彼奴は罪を犯したんだ」など口々に話している。

女は腰を抜かし、粟の方に目をやる。

手を伸ばしたその刹那。炎魄と呼ばれる男が目の前に現れて

「それは誰のための粟だ?」と聞いた。

女は

「我が子のためです」と震えながら答えた。

すると間髪入れず男は

「嘘をつくな。もう一度だけ聞く。誰のための粟だ?」

女は一瞬その冷酷な言動に怯んだが、毅然とした態度で「…我が子のためです」と答えた。

女はまるで自分に言い聞かせるように。

その瞬間、女の持っていた粟から炎が立ち上がり、その炎が女の着物に移り、たちまち女は炎に包まれた。

女は子供のためではなく、共に暮らすあの男に命令され盗みを重ねていた。

断末魔と共に女は誰かの名を叫んでいた。

その名は子か、それともーー。

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