24話 お前のモノは俺のもの
「待ってください。私はクリストファー殿下の秘密を知っています」
「ほぅ、言ってみろ」
はぁ、助かった。しかし、セレナは剣を構えたまま私の首筋に冷たい刃を当てている。
「実は殿下は下品な女性が好みです」
「はぁ?嘘つくな、死ね」
セレナの目がさらに冷たく光る。剣がほんの少し沈み、肌が切れるかという感触が走った。
「嘘じゃ無いです、本当なんです」
「誰がそんなこと信じるか」
彼女の声には、もはや嘲笑しかなかった。確かに、金髪に青い瞳の絵に描いたような貴公子で「最も理想的な結婚対象」と囁かれる王子様がそんな趣味を持つわけがない。誰も信じない。
俺は観念した。最後の切り札を出すことにした。
「俺は異世界から来た転生者なんです」
一瞬、空気が凍りついた。
セレナの動きが止まった。鋭い眼光が、私の瞳をまっすぐに貫く。彼女の表情は、怒りから、強い疑念へと変わっていた。
「嘘つけ!本当なら証拠を見せろ!」
「異世界の技術の話をしますから!信じて下さい!例えば……車と呼ばれる、馬なしで走る乗り物!空を飛ぶ鉄の鳥!遠くの人と話せる小さな箱!」
私は知っている代表的な知識を絞り出した。しかし、セレナの眉はますます険しくなる。
「ダメだ。作り話かもしれん。吟遊詩人のおとぎ話に、似たようなものはいくらでもある」
どこからか声が聞こえて来た気がする。俺のお股様が語りかけて来た。
「ピーラーがあるだろ、この真似けが、さっさとカップをはずせ!」
あっ、そうか、実家から持って来たピーラーが荷物入れに入ってた。
「分かりました、異世界の調理器具があります」
セレナは一瞬、目を細めた。そして、冷ややかに、しかし興味深そうに口元を歪めた。
「……分かった。手は縛らせてもらう、逃げないようにな」
彼女はそう言いながら、不敵に笑った。その笑顔は、子供が新しい玩具を見つけた時のようだった。
こうして、私は縛られたまま、セレナに連れられて自分の粗末なテントへ戻った。彼女は私の指示通り、雑然とした荷物の中から、銀色に光る異形の道具を取り出した。
「おぉ……これがその調理器具か」
彼女はピーラーを手に取り、珍しそうに眺め回した。
「確かに見たことない形だな。……よし、縄を切ってやる、実演しろ」
俺は震える手でジャガイモをピーラーで剥いた。
セレナは驚いた声を出した。
「すごい、これは金になる!」
は?
もう商売のことを考えてるのか?
欲の塊だな。
ある意味感心する。
「おい、リリア」
セレナはドス黒いニヤけた顔をしている。
「お前のものは私のものだな?」
ん?
なんだそのジャイアンみたいな理論は?
こいつはジャイアンか?
「はい、命を助けていただけるなら、、、」
「よし、今日からお前は私の下僕だ」




