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波乗りおじさんの異世界冒険(こ、これは?電子レンジ!?)  作者: 海岸線の夕日


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2話 兄レオンのスキル

そして2歳になった時に3歳年上のレオンのスキル授与式が行われた。


大広間は荘厳な雰囲気に包まれていた。高い天井からは色とりどりのステンドグラスを通した光が差し込み、大理石の床にはウェイブリッジ家の紋章が刻まれている。領内の神官たちが低く詠唱する声が響き渡る。


僕は母の膝の上に座り、儀式を見守っていた。父は緊張した面持ちで祭壇の前で立ち、レオンは真っ白な儀式用のローブを着て、小さな背筋をぴんと伸ばしていた。彼の茶色の瞳には、期待と不安が入り混じっていた。


「レオン・ウェイブリッジ、神々の御前へ」


首席神官の声が厳かに響く。レオンは一歩前に出て、祭壇の上の水晶球に両手を置いた。


一瞬、沈黙が訪れた。


そして、水晶球が金色に輝き始めた。光は次第に強くなり、やがて部屋中を包み込むほどの輝きを放った。光の中に、剣と盾の輪郭が浮かび上がる。


「『堅守の騎士』!」


神官の声に歓喜の声が上がった。父の表情が緩み、誇らしげに胸を張る。母は安堵の息をついた。


「武人の家系にふさわしい、優れた戦闘スキルです」神官が付け加えた。「防御と忠誠を司る、騎士道の真髄とも言えるスキル。将来は領地の守護騎士として、あるいは王国の盾として、栄光ある道が約束されましょう」


父はレオンの肩を叩き、何かささやいた。レオンは、ほっとしたような、しかしどこか複雑な表情でうなずいていた。


その夜、祝宴が開かれた。館中が喜びに沸き、レオンは祝福の言葉に囲まれた。僕は乳母に抱かれ、人々のざわめきを遠くから眺めていた。


「堅守の騎士」――それは確かに「平凡」からは程遠い、貴族の嫡男にふさわしい立派なスキルだった。人々の目は、レオンに、そしてウェイブリッジ家の未来に熱く注がれている。


しかし僕は、レオンの背中に、見えない重荷がのしかかるのを感じたような気がした。「栄光ある道」は、同時に「自由のない道」でもある。彼の人生はもう、「ウェイブリッジ家の嫡男」「堅守の騎士」という枠組みの中で描かれ始めたのだ。


宴がたけなわの中、僕はそっと部屋に戻された。乳母が寝かしつけようとするが、僕はなかなか眠れなかった。


窓の外には二つの月が浮かんでいる。前世の月とは違う、不思議な光を放つ月だ。


(兄さんは、あの光の中で、何を思っているんだろう)


(あの輝きは、彼を照らす祝福の光か、それとも、彼の行く先を照らし出すだけの、冷たい導きの光なのか)


(僕の選択は間違っていない。平凡でいい。目立たなくていい。誰の期待も背負わず、自分の小さな幸せを探す人生でいい)


そう決意を新たにした。


しかし、心の奥底で、かすかな違和感がもぞもぞと動いていた。この世界の「スキル」の本質を、僕は本当に理解しているのだろうか。前世の常識が、ここでも通用するという保証はあるのだろうか。

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