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転生宰相アラカワの華麗なる悪政  作者: 水井竜也(仮)
最終章・悪政の終焉
9/15

【第4話】その名は、ミトラ!

この作品はフィクションです。

実在の人物・団体・事件は、一切関係がありません。

また、このような政策を、

実施している国・自治体は、ありません。

 どうやら、三悪臣下……エリス・ゼーゲン労働大臣、ゼウス・フォン・アゲアシトル情報管理大臣、そしてユピテル・フォン・コーアン警務大臣の行方がわからないらしい。


 まあ、彼らのことだ。また良からぬことを考えているのかも知れない。


 俺は、彼らの『暴走』を放置した。


 俺の目的は、この『王国』の混乱にある。前世の復讐を果たし、俺の『正統性』を示すために『王国』には犠牲になってもらう。


 俺を裏切った、政治家や上司を……あれっ、俺の『正統性』とは、何だ?


「宰相さん!大変ですぅ!!」


 その時、秘書のサラが勢いよく俺の執務室に入ってきた。


「どうしたんだサラ。考え事をして、今、頭が痛いんだが?」


 前世のことを考えると、いつもこうだ。しかし、サラは息を整える間もなく、俺に報告する。


「『聖国』の王・ミトラ様が、面会を求めています!衛兵たちの制止を振り切り、玉座の間にお越しです!」


 ◇ ◇ ◇


 玉座の間の空気は、張り詰めていた。


 大臣や衛兵の視線は……玉座の前に立つ一人の男へと集まっていた。


 隣国の王、ミトラ。


 きらびやかな衣装をまとい、黄金の髪に陽光を宿す。まなざしは、まるで大気そのものを照らすようだった。周囲を圧する神々しい気配。彼こそが『真の太陽神』の権能を持つ男。世界を秩序へと導く存在。


 ……やれやれ。俺は乾いた笑みを浮かべた。


 ついに来やがったか、審判の時が。


 俺の『王国没落計画』は完璧だった。三悪臣下を操り、腐敗を制度として定着させる。『王国』は自ら進んで泥沼に沈んでいく。


 かつての俺を「青臭い」とか「大人になれ」と言った奴らに『国が滅びる様』を見せ付けるために。


 だがミトラは、そんな俺を気に掛ける素振りすら見せずに用件を伝える。


「貴国の三悪臣下は、国際指名手配となった。我は単身出向き、彼らを捕縛している。貴殿には、彼らの引き渡しの許可をもらいたい」


 なっ!三悪臣下を捕まえた……だと……!?


 『王国』を滅ぼそうとした俺ではなく!!


「納得がいかない顔だな?……お前の罪は、知略に長けた悪行ではない!」


 ミトラの声は、俺の心を見透かすようだった。


「お前の罪は“無能”だ。お前は『王国』を操ったつもりでいた。だが実際には、三悪臣下を放置し、彼らに翻弄されるだけの愚鈍に過ぎぬ!」


 俺が、無能だと?


 “悪人”と罵られることなど慣れ切っている。むしろ甘美ですらある。だが“無能”と断じられることだけは、俺にとって耐えがたい侮辱だった。


 この腐敗と混沌を、ここまで拡大させたのは誰だ? 俺だ。俺の手腕だ!それを“無能”と……?


「“無能”と言ったか?この惨状を見ろ!これが俺の……


「『前世』の鬱憤晴らしだろう?」


 ミトラの声が鋭く割り込む。冷たく、それでいてどこか慈悲深い。


「……お前は『前世』に囚われている。だが、我ら為政者は“子どもの駄々”に付き合うほど暇ではない」


 その言葉に、俺の中で何かが崩れた。


 ミトラは静かに、俺に告げる。


「我は、お前の正体を知っている……地球人類最後の英霊・新川修司(あらかわ しゅうじ)よ」


 その名を聞き、足元が崩れ落ちるように、俺は床へ倒れ込んだ。


「……どうやら、期待外れだったな」


 遠ざかる意識の端で、ミトラの背が光に包まれて遠ざかっていく。

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