表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生宰相アラカワの華麗なる悪政  作者: 水井竜也(仮)
最終章・悪政の終焉
7/15

【第2話】ゼウス・フォン・アゲアシトル情報管理大臣

この作品はフィクションです。

実在の人物・団体・事件は、一切関係がありません。

また、このような政策を、

実施している国・自治体は、ありません。

「ゼウス・フォン・アゲアシトル男爵だね?」


 牢に捕らえられた俺に、老獪な牢獄長が声をかけてきた。


「女王……『魔女』に歯向かい拘束された、違うかね?」


 最初は、俺を笑いに来たのかと思った。


「君のような人材を、私は待っていた。どうだろう、私の仲間にならないか?」


 牢の鍵は開かれた。俺には、これ以上の選択肢がなく、その選択は俺の力を活かすものだった。


 ◇ ◇ ◇


 夜更け、情報管理省の奥深くにある俺の執務室は、無数の水晶板(モニター)の光に照らされている。


 それぞれの板は遠国の街を映し出し、火炎と叫喚が織りなす生のドラマを伝えてくれる。


「ほう、また一つ、政府庁舎が焼け落ちたか」


 指先で水晶をなぞれば、そこには反政府組織が武器を手に歓声をあげる姿。


 その武器がどこから流れたか?もちろん、俺の手元からだ。


 内乱は、短く終わってしまっては、つまらない。


 そろそろ、俺の『同盟国』が動くはずだ。


 水晶板(モニター)には、数十の星が描かれた鉄の塊が、いくつも映し出される。機械仕掛けの戦車だ。


 『内乱鎮圧のための武力介入』


 この世界には戦争がない。それは全ての国で『憲法』に『第9条・戦争の放棄(ノイント・テーゼ)』が組み込まれているから。


 しかし『内乱を鎮めるための戦力』は保持してもいい。


 それが、俺と『同盟国』の抜け道だ。


 俺は、他国の政治不信を煽り、反政府組織を育て、武器を売る。


 頃合いを見て『同盟国』が『内乱鎮圧』にやってくる。その費用を政府に請求する。


 こうして国土は荒れ、経済は停滞し、難民が溢れる。


 その難民は、エリス労働大臣の網へと吸い込まれ、再び我らの利益へと変わる。


「見事な循環ではないか」


 俺の行いは破壊ではなく、調和だ。


 世界を動かす偉大なる歯車を整える芸術行為。


 遠国の炎が、まるで祝祭の灯火のように揺らめいている。


 俺は杯を掲げ、炎に向かって囁く。


「さあ、もっと踊れ。もっと争え。お前たちの苦悶と絶望こそ、俺の糧だ」


 情報とは、武器である。


 だが俺にとっては、それ以上に至高の娯楽だ。


 俺は情報を操り、歴史を塗り替え、存在を消す。


 そして、世界は俺の指先ひとつで形を変えていく。


 ユピテル・フォン・コーアン警務大臣……あの日、俺は、コーアンの旦那の仲間になった。


 コーアンの旦那の指示は、『同盟国』に接触し、軍需産業と軍部と協力して『ビジネス』をすること。


 何でも、彼らは『グローバリスト』の指導する『国際分業』によって、戦闘を引き起こし、軍需産業を維持しなければならないらしい。


 そこで、俺が『内乱』をでっち上げ、彼らが『介入』する。


 信頼関係が構築されるのは、時間の問題だった。


 情報管理大臣ゼウス・フォン・アゲアシトル。


 俺は今日も、最も美しい舞台を鑑賞する。


 ◇ ◇ ◇


「ゼウス・フォン・アゲアシトル……貴様は、やり過ぎた」


 おっと、こういう手合いは、たまにいる。俺の情報の綻びを辿ってやってくる正義漢。


「さぁて、何のことかな?バカな恋人でも、内戦で死んだのか、なッ!」


 俺は躊躇なく、『ゼウス』の『雷撃』の権能を使う。


 ……いや、待て。ここは監視装置があって、発見されずに、ここまで来れないはずじゃ?


「……この程度、避けるまでもない!我が権能は『太陽』!『太陽風』よ、雷撃を反らせ!」


 俺が放った『雷撃』は、きらびやかな衣装をまとった男に当たることはなかった!


 『太陽』?つまり『光の速さ』で、監視装置を駆け抜けたと!?


「てめぇ!もしや、あの国王か!?」


 ガツッ!!


 俺が、やっと男の正体を悟った時、意識を刈り取られてしまった。

高評価&ブックマークをいただけると、大変励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ