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転生宰相アラカワの華麗なる悪政  作者: 水井竜也(仮)
第3章・星国躍進編

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【第4話】交渉の成果

※この作品はフィクションです。

※実在の人物・団体・事件は、一切関係がありません。

※また、このような政策を、実施している国・自治体は、ありません。


「何の成果も上げられずに帰る……“星国観光”にでも、来たのかな?」


 トラップ大統領の、その言葉が、俺の心に突き刺さる。


 “星国観光”……世間から見れば、俺はそう映るのだろう。


 『宣戦布告のフェイク映像』が流されれば、俺は神罰によって消え去るかもしれない。

 ……あるいは、王国そのものが世界の敵となり、滅ぼされる。


 だのに、国民は、あのレーン・フォウは、美人秘書と女騎士を連れ遊び、“星国観光”をしていただのと、俺を蔑む。


 ……もう、嫌だ。思考よりも先に、膝が折れていた。


「……五千五百億、用意した。星国への投資金だ……これで、どうにかしてくれ!」


 俺は、知らぬ間に、跪いていた。


 トラップ大統領は、満面の笑みを浮かべる。そして……


「ふはははは、アラカワ宰相!……少し、怖がらせてしまったかな?」


 大きな手が、俺の肩に置かれる。引き起こされ、無理やり立たされた。


「君の熱意には、心を打たれたよ……アウロレア、例の映像を消去したまえ」


 トラップは振り返って命じる。しかし、アウロレアは不満そうに抗議する。


「しかし、プレジデント・トラップ。この映像があれば、今後の交渉を優位に……」


 だが、イイネ・マックスが遮る。


「アウロレア、やるんだ……これは、大統領の命令デス」


 数秒の沈黙の後、アウロレアは小さく一礼した。


「……かしこまりました、マスター・イイネ」


 アウロレアは、俺に見えるように小型液晶板(スマホ)を掲げ、問題の映像を削除する。


「アラカワ宰相」


 トラップが続ける。


「君は、我が星国への投資を約束してくれた。ならば私は、関税の引き下げを約束しよう。そうだな……一律25パーセントを、15パーセントだ」


 ……頭が、真っ白になった。


 フェイク映像は消えた。関税も下がった。


「ありがとう、トラップ……これで、俺は、王国に帰れる……」


 その時は何も考えられず、俺たちは星国を後にしたのだった。


 ◇◇◇


 しかし、王国に戻った俺を待っていたのは、喝采ではなかった。


「関税が15パーセント?」


 国民議会で、レーン・フォウが冷ややかに言い放つ。


「以前はゼロでしたよね、宰相?つまり五千五百億を支払い、条件を“悪化”させて帰ってきた」


 周りの議員たちも野次を飛ばす。レーンの追及は続く。


「……そして、合意文書は?」


 俺は、言葉を詰まらせる。


「……取り交わしていない」


 レーンは眉を吊り上げ、俺を睨みつける。


「つまり、口約束ですか!?……交渉も、まともにできないとは」


 嘲笑が、議場を満たした。


 その瞬間、理解した。俺は成果を持ち帰ったのではない。


 敗北を、数字にして持ち帰ったのだ、と。


 ◇◇◇


 一方、星国。


 アウロレアは、星国の要人たちを集め、新計画の説明をしていた。


「我々は、新たな力を手に入れます」


 巨大水晶板(モニター)に、投影された文字。


 『神の炎』


「地球時代の偉人の名をAIで解析し、英霊として降臨させる計画。その中で、特異な適合者が見つかりました」


 その名が、表示される。


 『オッペンハイマー』


「この英霊ならば、“神の炎”を生み出せる。それは世界に平和をもたらすための、新たな秩序となるのです!」


 会場が沸き立つ。要人たちが立ち上がり、拍手をする。


「星国は、再び強く、輝かしい国となるのです」


 拍手の中で、イイネが呟いた。


「……ついに来まシタね」


「ああ……」


 トラップも、頷く。


 だが、二人は、どこか浮かない表情をしていた。

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