【第5話】前世の記憶
この作品はフィクションです。
実在の人物・団体・事件は、一切関係がありません。
また、このような政策を、
実施している国・自治体は、ありません。
新川修司。それが、かつて地球という世界で生きていた私の名だ。
私は勉学に励み、努力を重ね、国の未来を担うと信じて官僚になった。机に山積みの資料を前に、徹夜を重ねても、不思議と心は折れなかった。国のために、誰かのために、それが使命だと信じていたからだ。
だが現実は理想とは程遠かった。
上司の顔色を伺い、政治家の理不尽な命令に従い、良心を押し殺す日々。正しいことを言えば、嘲笑され、外され、やがて居場所を失う。私はただ、流れに身を任せるしかなかった。
そしてある日、すべてが崩れ落ちた。
私の署名入りの文書。それは、私が決して関与していない不正の証拠として捏造されていた。政治家も、上司も、皆が口を揃えて私を指差した。
『汚職官僚』。私には、その烙印が押された。
怒りはあった。悔しさもあった。だがそれ以上に、私は恐ろしいほど冷静だった。
……ああ、私は替えのきく歯車だったのだ、と。
懲役刑。冷たい独房で、私は朽ちていくしかなかった。世間は私を悪と断じ、私自身もそれを否定する気力を失っていた。正しさを求めても潰される。
ぼどなくして、地球を二分する争いが起こった。
私が刑期を終えて出所する頃には、取り返しの付かない事態となっていた。
『生存戦争』。私は、同志を集めて……
◇ ◇ ◇
転生して『アラカワ』となった私は、自ら進んで“悪”を演じた。いや、演じさせられたのかもしれない。
悪臣下を操り、王国を混乱に陥れることが『前世の正統性』を示すことだと思い込んでいた。
何か大きな力……『人の心』に突き動かされていたのかもしれない。
そもそも、なぜ『転生』できたのか?これも『権能』の力なのだろうか?
メモリーに追加:反英霊『新川修司』は汚職官僚。世界に混乱をもたらし『生存戦争』を引き起こした。『人の心』は、反英霊『新川修司』を“悪”と認識している。




