魔王の孫、魔王代理になる。
初めまして。七瀬です。この作品は主人公がめちゃ愛されてるのでそういうのが苦手という方は、ブラウザバック推奨です。
とある日の朝。いつものように私はおじいちゃんを起こしに行く。
ガチャ
「おじいちゃーん、朝だよ」
ベットを覗いてみると、そこに居るはずのおじいちゃんが居ない。
「またか。」
この世界には魔法が存在する。炎、水、風、雷、光、闇、の6つの属性があり、この世界の住人は必ず1つ、属性を与えられる。基本は1つだが、ごく稀に複数の属性を与えられる者や、無属性という1つも属性が与えられない者もいる。
そんなこの世界には、魔王がいる。魔王といえば、邪智暴虐なる王をイメージするやつもいるだろうが、この世界の現魔王はちがう。現在の魔王は、自由奔放で、マイペースで、いつもいつも周りの者たちを振り回すムカつくムダに若く見える爺なのだ。そして、そんなふざけた魔王には孫がいる。その孫が、私。
クロディア・エン・ルドーシムだ。
話を戻し、今朝の出来事。おじいちゃんがいない。はぁ〜〜〜〜、またどっかいきやがった、あの爺。あの人はこうやって、朝起こしに行くと居ないことが多い。次はどこ行ったんだか。書類もまだまだ山積みなのに…。ふと、書斎を見ると、私の目に入ってきたものは、2つの書類の山と、昨日まではなかった便箋。封筒に入っているわけでもないので、きっと誰かへの置き手紙だろうか。気になるから、みちゃお。
「誰に書いたんだー?あの困った爺は。」
「んえ〜っと、なになに?」
「愛しの我がPrettylovelyな孫へ。」
私宛てだった。おじいちゃんは私に手紙を書くとき、いつもPrettylovelyを付ける。正直気持ち悪いから控えてほしい。
「ちょっくら、12年ぐらい旅行に行ってくるので、その間の魔王の責務はお前に託すぞいっ。じいじより。PS・アイツらのことは顎で使えーーー。」
「……。」
ぷるぷるぷる
「なぁにいってくれてんだ、、」
「あのじじいぃぃぃぃっっ!!!!!!!!!」
そんな私の叫び声を聞きつけ、ばたばたと足音が近づいてきた
ばぁぁぁん
扉開ける力強くない?物は丁寧に扱え?
「クロ様?!どうなさいましたか?!?!」
「クロ?!どうした?!なにかあったのか?!」
このばたばたと廊下を走ってきた2人は、我が祖父が率いる魔王軍の四天王のうちの2人。セレスとセレナ。水属性の使い手と雷の属性の使い手だ。この2人、というか四天王は全員、名前が似ているのだが、全員、全くの他人である。貴族出身の四天王3人は家を出る際、名を捨てたそうだ。なんでも、これから魔王軍として戦うのに、勇者パーティに入るべしとされている家系の名を名乗るのはいただけないと判断したそうだ。なので、新しい名を与えた。おじいちゃんが。
「みてこれ!!!」
「?この達筆っぷりは魔王さまの字ですね」
「んあーっと、なになに?」
セレス&セレナ「……。」
「はぁぁぁぁ、またあの方は、何故こんなにも自由奔放なんですかねぇ…。」
「あの人、昔っからだよなぁ、、。ほんとに呆れる…。」
「自由奔放は今更感ありますけど、流石に12年は初ですね」
そう、2桁は流石に初だ。今まで、たった数週間、とかたった2、3ヶ月だけとか、長くても1年だった。流石に10年以上ははじめて。
「てかなんでこんな刻んでくんだよ。12年て」
「ほんとにね(怒)」
その時ふわっと、上から風を感じ、天井を見上げると、見慣れた魔法陣がある。3人目の四天王のお出ましだ。
「ちょっと君たち。なにしてるの?朝ごはん冷めちゃうよ?」
この人はセレト。セレトも我が軍の四天王の1人で、風属性の使い手。ごはんを作るのが凄く上手で魔王城のごはんはセレトが作ってくれている。きっと、セレトがいなかったら、この魔王城の面々は餓死してるか、栄養失調で倒れていたな。ありがとうセレト。ウチにきてくれて。
「おや、セレト。おはようございます。」
「はよ」
「2人ともおはよう。クロもね。」
「セレトぉ〜!みてぇこれぇ」
私は挨拶もせず、あの置き手紙を差し出し、セレトに泣きついた。
「?魔王さまからの手紙?」
「…。はぁぁ、あの方は一体何度、旅行をするんだ、、。」
「しかも、今回は12年ときた、」
「こっちのこと考えてんのかねあの爺」
「こら、クロ。爺なんて言っちゃダメだろう?」
ちょっぷ
「あう、ごめんちゃい」
(ごめんちゃい、、可愛すぎる…。L'album important de Celesに保存しよう。)
⬆和訳︰セレスの大事なアルバム
(あぁ、このお方は日に日に愛らしさが増す一方だ。)
「分かればよし。さて、ご飯にしようか。クロとセレンは学院だろう?」
「あぁそうだったそうだった。てか、セレンはいずこ?」
「ここ」
「ぅわぅっ、びっくりした、そんなとこにいたの」
背後から声がし、つい驚いてしまった。この子が、四天王の4人目。セレンだ。炎属性の使い手で、私が拾ってきた子だ。それ以来、私の傍には常にセレンがいる。私と同い年くらいに見えるけど、私より2つお姉さん。
それにしても、全然気づかなかった、本当にセレンは気配を消すのが上手い。
「よし、今日は誰が転移魔法使う?私でもいいけど」
なにかとこうして朝に全員集合になることが多いので、その際にはごはんを食べる部屋まではかわりばんこで転移魔法を使っている。
「んーん、私がする」
「そ?ありがとね」
「みんなてつないだ?いくよ」
しゅんっ
とっ
「ごはんだー!!!今日はぁ〜、オムライス〜!!!」
「〜♩」
「ふふっ、見た目に反して、ご飯になると急に元気だなぁ、あいつは」
「そこがいいんですよねぇ、」
「元気なのはいいことだからね。」
「いつか、恋人つくってきそう、」
そんなセレンの何気ない一言に四天王は顔色を変えた。
「せ、せせせ、セレン?!?!なんていうことを言い出すんです?!?!」
「おおお、おいセレスすすす、おちつけよよ」
「あはは、2人とも動揺しすぎじゃない?クロも、もう15歳だから、恋人ぐらい居ても変じゃないでしょ。」
「…。セレトも、足がくがく、まるで産まれたての子鹿。」
そういうセレンも自分で言っておいて、恋人が出来たクロを想像してしまい、ちょっと涙目である。
「?どしたのセレト。足がっくがくじゃん。」
当の本人。
「あはははは。なんでもないよ。さぁ今度こそ、ご飯にしようか。」
「「「「「いただきまーーす!」」」」」
小説かくのって難しいですね。