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35話  パーティー ⑧

「彼は……いつも憂いていたの。私が知り合う前から……私と同じだった。

 離縁されて実家の辺境伯領に戻ってきて……やることもなく目的もなく過ごしていた時……彼と出会ったの。

 金髪の綺麗な髪を見てすぐに隣国の人とだわかったわ。そして優しい彼に恋をしたの。だけど彼は隣国の辺境伯だったからこの恋を諦めないといけないと思っていて……」


「レベッカ嬢……君は不倫の言い訳をしているのかい?」


「不倫?」

 キッと睨みつけて王太子殿下へ視線をやる。


「結婚している男と恋をする。それは不倫だろう?」

 呆れるように言った王太子殿下に鼻で笑うレベッカ。


「貴族なんだから結婚は政略でしかないの。そして恋愛は別もの。不倫ではなく真実の愛だわ」


「へぇ、で、ネージュのことは?もうわかっているんだ。ネージュとルシナ殿との手紙やプレゼントのやり取りを邪魔して二人の関係を悪化させたこと。ルベルト伯を愛していると言いながらネージュに対する態度はどう言うことなんだ?」

 レベッカは「ああ」と言ってクスクスと笑い出した。


「あら?女が恋をするのは一人じゃないのよ?他にカッコいい人がいれば目にいくじゃない?ふふふっ、ネージュって夜はとっても優しいのよ?ねっ?ネージュ?」


「な、何を……」

 ネージュはレベッカの言葉に真っ赤になり戸惑いながらも言い返せずに目を見開いた。


「ネージュ、お前は確か『全て誤解です』と言ったよな?やはり本当はレベッカ嬢と寝たのか?」

 ズバリ確信をつく質問にネージュはオロオロとし始めた。


 目が挙動不審で忙しなく動いた。しかし、大きく息を整えて王太子殿下を真っ直ぐに見た。


「違います……レベッカ嬢とはそんな関係ではありません……絶対とは言えませんが……俺は…嵌められたのだと思っています」


「うん、俺もそう思うよ」


 王太子殿下も頷く。


「レベッカ嬢、そろそろ本当のことを話してごらん?俺は知ってるんだよ?」


 気持ち悪いくらいニコニコ微笑む王太子殿下。尋ねられた言葉に口ごもったレベッカは、ぷいとそっぽを向いた。


「乱暴なことはしたくはなかったが、彼女を捕まえて牢屋へ。そして娘であるソフィアは辺境伯に渡せ」


「…………やめて!お父様にだけはソフィアを渡さないで!」


 突然ガタガタと震え出したレベッカ。先ほどまで傲慢な態度を崩さなかったのに辺境伯の名が出て顔色が変わった。


「今王城に登城してる。多分騒動も聞きつけているはずだ。そろそろここの執務室に騒々しくやってくるんじゃないかい?あの辺境伯なら」


「………お願い。お父様にソフィアを渡すのはおやめください」


 項垂れて床に頭をつけた。


 ネージュはそんなレベッカを唖然として見ていた。


「殿下……?」


「レベッカ嬢、いい加減に周りを振り回すのはやめなさい」


「……本当のこと?そんなの決まっているわ。離縁した夫への復讐だわ」


「えっ?」「離縁した夫とは?」

 周囲にいた人達が思わず疑問を口にした。


「やっぱりそうか……」


「私の元夫は……お父様の最愛の人…の息子。結ばれることのなかった二人は子供同士を結婚させたの」


 レベッカは仕方なく話し始めた。


 父と元夫の母である二人の約束で無理やり結婚させられたレベッカは、元夫に裏切られて離縁して帰ってきた。

 その頃はまだ純粋だったレベッカ。

 裏切りとは、もともと夫には恋人がいてレベッカを酷く冷遇するもので、産まれるはずだったお腹の子供が流産して身も心も傷ついたレベッカは元夫に追い出され辺境伯領へと戻ってきた。


 傷つき全てを失い優しく出迎えてくれるかと思ったのに、父親はそんなレベッカに優しい言葉をかけるどころか、我儘で我慢が足りない、なぜ戻ってきたのだ、と責め上げた。


 傷つきもう全てが嫌になって死場所を求めて森へと入っていった。


 そんな時知り合ったのがルベルトだった。ルベルトが奥さんに強く出ることができないのは本当らしい。ただ、薬を盛られたなど、そんな話はレベッカが適当に言った嘘で、彼はこの戦に勝てば奥さんの鼻をあかせると思い、レベッカの口車に乗ったらしい。


 この男と組めば辺境伯領同士の戦いになる。戦に負ければ父は負けたことに対して責任を取らざるを得ない。父への復讐になる。そして冷遇して追い出した元夫達への復讐にもなる。


 元夫の領地は辺境伯領と共に武器の事業を行っていて、戦の間はたくさんの武器を売れるが敗戦すれば資金が底をつく。


 資金が底をつくようにたくさんの武器を買い付け必要以上に辺境伯の城に在庫を抱えた。そして戦が終わる頃にはその武器は必要なくなり、支払い能力を失った辺境伯と元夫は破綻する。


 そう思っていたのに、ルベルトは負けてしまった。


 ルベルトとは何度か体の関係を持った。それは彼に信用してもらうためであって、特別な想いはなかった。


「私は彼と何度かそう言う関係になってソフィアを妊娠したの……彼にはうちの情報を与えないといけないから。まさかこちらが勝つなんて……負けるように情報を与えたのに、騎士達が優秀すぎたのね」


 ネージュに執着したのはルベルト伯と同じ金髪で都合が良かった。もしルベルトと会っているのがバレた時、ネージュを言い訳にできるかもしれないと思い、ネージュに擦り寄ろうとした。


 彼の手紙やプレゼントを隠したのも最初は奥さんとの関係が上手く行かないようにするためで、ネージュがレベッカに靡きやすくするためだった。

 それにネージュが結婚したばかりの政略でしかない妻を大切にしているのも腹立たしかった。


 なのにネージュはなかなか手強くレベッカに懐柔されなかった。だから媚薬を盛って体の関係を持った。


 ネージュはレベッカを抱いていないと思い込んでいるが、実際は二人は一夜を共にした。


 娼婦が最初は部屋に入って来たが入れ替わりレベッカがネージュの相手をした。


 ソフィアが産まれるまで、どちらが父親なのかレベッカ自体もわからなかった。レベッカ自身は、ネージュに惹かれていたので本心はネージュの子供であればと期待していたのだが、実際はルベルトに似ていた。ただ、この本心はここでは話さなかった。


 ソフィアがルベルトに似ていることに気がついていたのは父である辺境伯や上の地位にいる者達だけだった。他の騎士達は敵であるルベルトの顔をはっきりと認識している者は少ない。


 なぜならルベルトは命令はしても戦いには参加していない。


 ソフィアを隠すように育てたレベッカ。領地に戻って来たのも辺境伯領の情報をルベルトに渡すため仕方なくだったらしい。


「ほんと、ルベルトったら使えないわ。戦に負けるし怪我はするし、今回はリュシアンを攫って私に会おうとしてるんでしょう?私が彼と別れを告げたらしつこく付き纏ってくるんだもの」


「ルベルト伯の奧さんは?」


「ああ、ルベルトの奥さんは私がルベルトの子供を産んだことを知って嫉妬でソフィアを亡き者にしようとしているのは確かよ。女の嫉妬って怖いわよね。でも別れたのに私に執着するルベルトも大したものだわ」


 あっけらかんと言うレベッカ。


「だからルベルトがリュシアンに何かすることはないの。私に会いたいだけだもの、そしてソフィアに会いたいのだと思うわ。もうすぐ処刑されることが彼もわかってるでしょうから、最後に会いたいのよ」


「ルベルト伯を愛しているのか?」


 王太子殿下の質問に「ふふふ」と曖昧に笑って返事はしなかった。



 しばらく黙ったままのレベッカは思い出したように言った。


「………ソフィアをお父様に渡さないで。お父様はソフィアをよく想っていないの。私のように厳しくされるわ、それに何をするかわからない。あの子には罪はない……あの子には幸せになってほしいの」


「人を不幸にして?」


 王太子殿下は呆れたように聞いた。







 ◆ ◆ ◆


 感想について。


 いつもたくさんの感想ありがとうございます。毎回楽しみに読ませていただいております。


 読者の方に感想を取り消してほしいとお願いがありました。でも一度承認してしまうと取り消しはできないシステムのようです。


 申し訳ありません。

 読み直しましたが、私的にはおかしなものではなく、また改めて皆さんに読んでもらえるように頑張って書こうと思ったので、逆に感謝でした。


 プライベートが忙しくなかなか話を書く時間がゆっくりと取れず更新がバラバラですが、この話もあと少しお付き合いいただければと思います。


 いつも皆様いいね、感想、エール、ありがとうございます。


 励みになっております。










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