29話 パーティー ②
王城の子供達を集めたパーティー会場はとても開放的で広いパーティー会場の扉を開けて庭園へと出入り出来るようになって庭園と大広間が一続きになっていて元気な子供達が駆け回れるようになっていた。
そしてそこには子供達が遊べる遊具がたくさん造られていた。
滑り台にブランコ、ジャングルジムもどきに、鉄棒、木馬や砂場、かけっこしても怪我が軽減され痛くないように芝生も整備された庭園は……うん、レーヴ商会を通して私が提案した公園だった。
子供達は大喜び。室内遊びが好きな子供のために絵本や紙芝居の読み聞かせ、輪投げやボルタリングもどきまで造られていた。
「子供達が嬉しそうだわ」
「私の屋敷にもこれ欲しいわ」
大人は初めて見る遊具に驚いていた。紙芝居や仕掛け絵本はうちのお店で売っているので割と知られている。
だけど、これだけ遊べる公園はこの世界では初めてで、前世では当たり前のものがとても珍しいもので、大人まで子供と一緒に楽しんで見て回っていた。
「あれ何かしら?」
ボルタリングもどきは、壁にペンキで塗った石を貼り付けて登って遊べるようにしたのだけど、「??」って感じで戸惑っていた。
「これ、こうするんだよ」
リュシアンが壁の石に足を引っ掛けてスルスルと登って下のクッションに「ボスッ」と手を離して落ちるようにおりた。
「きゃあっ!」「まぁっ!」「怖いわ」
など反応は色々だけど、男性が「へぇ、楽しそうだね」と子供より先に始めた。それを見てその男性の息子が「僕も!」と言って始めた。
そこからは順番の列ができてワイワイと楽しそう。
リュシアンもよくお店に来て遊ぶ仲の良いお友達と遊び始めた。
一緒について来てくれた公爵家の護衛が遊んでくれるので安心して任せられる。
私は顔見知りの夫人達に挨拶をしながら新作のドレスを見せて回る。何も言わなくても皆、緻密で美しいレース編みに目を奪われる。
ドレスのデザインも今までにないもので興味深々で「どこでこのドレスは作られたの?」「誰のデザインなのかしら?」「なんて綺麗なレースなの?」と質問責めにあった。
内心「よっしゃぁ!」と思っていても顔にはもちろん出さずに、作り笑いで微笑んで「こちらは………」と説明を始めた。
離縁のことは誰も敢えて振らないでくれた。厳しい社交界の世界だけど、レベッカ様の評判はあまり良くなかったようで私を悪くいう人は少ないようだ。
それでも面白おかしく噂をする人もいるのだろうけど、公爵の伯父様のお陰で面と向かって私を馬鹿にしたり蔑む人はいなかった。
なんとか上手くみんなの輪の中に入り楽しく過ごしているとザワザワと入口の方が騒がしくなった。
立ち話をやめてみんな入口の方へ視線を移した。
そこには昼間のパーティーには相応しくないのではないかと思える豪華絢爛な派手なドレスを着たレベッカ様と、髪型もドレスもフリフリで可愛らしいのだけど動くのが辛そうなドレスを着たソフィアが現れた。
みんな一斉に二人が歩く道を避けるように端に寄った。頭は下げても誰も声をかけない。
レベッカ様はそんな周りの様子を気にすることなく会場の中へと入って来た。
私は………
ぼんやりとそんな二人を見ているとソフィアが私に気がついて「まま!」と走ってやって来る……つもりが、ドレスが重たくて動きにくく、すぐに転んでしまった。
高級な絨毯が敷き詰められているので転んでも痛くはないのだけど、転んだことに驚いて「うっわ~ん!!」と泣き出したソフィア。
レベッカ様はすぐそばで転んで泣いているソフィアを見てイライラしたのか「早く立ち上がりなさい!みっともない」と叱るだけで動こうとしない。
ソフィアはただ泣きじゃくって動こうとしない。あれは起き上がりたくてもドレスが邪魔で立ち上がりにくいのもあるのかもしれない。それに子供ながらに叱られてどうしていいのかわからなくなっているのでは?
そう思って私は急いでソフィアのそばに行き、床に跪いてソフィアに「大丈夫よ?泣かないでいいの。立てる?痛いところはない?」と聞いた。
「まま……」
私のことを『まま』と呼ぶソフィア。久しぶりに会っても忘れていないみたいで、私は転んだままのソフィアを抱き起こして怪我がないかみて、どこも怪我をしていないのを確認して抱っこしたまま立ち上がった。
「まま」ソフィアは安心したのか私の胸に顔を埋めてギュッと抱きついてくる。
「ふん!人前で良い母親振って!旦那に捨てられたからって点数稼ぎして恥ずかしくないのかしら?」
レベッカ様の言葉にカチンときた!
だけどたくさんの人たちの前で言い返せば同じ種類の人間だと思われる。それだけは嫌だった。
「レベッカ様、控え室にソフィア様をお連れしてもよろしいでしょうか?この着飾るだけ着飾った動きにくいドレスのせいでソフィア様は転んでしまわれたようです。少しだけ動きやすいようにして差し上げたいのです」
「使用人のようなセリフね?そんなだから捨てられるのよ」
「私は捨てられたのではありません。捨てたのですよ?」
ここだけは誤解されたくない。だから思わず言い返してしまった。




