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隠密侍女は推し令嬢を幸せにしたい!〜推しの兄は同士ですが、何故だか私にも甘いです!?〜  作者: 九条 睦月


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40-2.断罪(2)

「まずは侍従から。その次は側近へ。その次は……王子殿下ご本人までも手中に収める気であったか?」

「そんな……」

「そなたはエルス王国と手を結び、我が国にスカーヴを蔓延させようとしていた。王族を操り、国を乗っ取るつもりだったと言われても反論できまい。……エルス王国に何と言われた? 高い身分や権力でも提示されたか?」

「……」

「答えよ、ダニング侯爵。その方には、答える義務がある」

「ぐっ……」


 脂汗をダラダラと流し、蹲るダニング侯爵。無理やり立たせるも、頑なに口を開こうとしない。

 裁判官は、もう一人の人物を呼び出した。


「クラーク=ダニングをここへ」


 扉が開き、クラークが中に入ってくる。彼の顔色は酷く、また足元が覚束ない。


「その方に問う。エルス王国は、いったいどんな条件を出したのだ?」

「……」

「答えよ」

「……答えれば、お慈悲をいただけるのでしょうか」


 再び傍聴席がざわつく。

 この期に及んで慈悲を乞うなど信じられない、なんて図々しい、慈悲などあるわけがない、などなど。

 裁判官は場を静め、再度問うた。


「国を売るほどの条件とは、いったいどんなものだったのか」


 クラークは、これ以上足掻いてもどうにもならないことを悟る。彼は力なく、こう答えた。


「準王族の扱いで、エルス王国に迎えると」


(それを信じたというのか? ……そんなことはありえないとどうしてわからない? エルスの貴族どもが黙っているはずがないだろう!)


 レオナードがゆるゆると頭を振ると、その隣ではアーネストが重い溜息をついていた。傍聴席の皆々はまた騒いでいるが、二人にそんな元気はない。


「なんて愚かな」

「愚かどころの話ではありませんね」


 ギルヴァーナ王国内で、ダニング侯爵は大きな力を持っていた。それは、筆頭侯爵家に並ぶとも言われている。それでも、満足できなかったというのか。


「ティム=ダニング、そしてクラーク=ダニング、お前たちは、国に叛意があったのか」


 裁判官の声ではない。この場の全員が礼をとる人物──国王である。

 彼の威圧に、ダニング侯爵とクラークは震え上がり、ガクリと両膝をついた。


「は、叛意など……」

「エルスに寝返ろうとしたのだろう?」

「……っ」


 ロメロの実を栽培しエルス王国に輸出、そして生成されたスカーヴを輸入した。よりにもよって王宮内で使用し、王子たちの侍従を意のままに操っていたのだ。

 これを叛意と言わず、何と言うのか。もう言い逃れはできない。


「幸い、スカーヴの被害に遭った者たちは軽症であった。治療を続ければ、薬は抜けるだろうとのことだ。それに、彼らは機密事項を扱っておらず、重要な情報が外へ出ることはなかった。……が、それは結果論であり、これで罪が軽くなるはずもない」


 侍従たちがダニング侯爵たちに隷属させられていたことがわかってからすぐ、彼らは王宮お抱えの医師の診察を受けた。

 どの程度奴隷化しているのかの鑑定もあわせて行われ、それを請け負ったのはレオナードだ。人に対する鑑定は、鑑定スキル持ちよりも、本質スキルを持つ彼の方に適性がある。


 王の言ったとおり、彼らは軽症だった。スカーヴは、服用の回数を重ねるほど症状が進行する。彼らは、まだ数回ほどしか服用していなかったのだ。

 彼らはクラークの指示に従っていたが、せいぜい彼の仕事を肩代わりする程度であったらしい。


「治験の意味合いもあったのだろうね」


 上手くいけば上々、失敗してもさほど影響がないように、とのことだったのだろう。そんな理由で実験台にされた侍従たちが気の毒である。


「判決を言い渡す」


 王が宣言し、後を裁判官に任せた。裁判官は頷き、ダニング侯爵親子に告げる。


「ロメロの実の違法栽培、禁止品目の輸出入、禁止薬物の取り扱い違反等、国への叛逆行為を行った罪により、ティム=ダニング、クラーク=ダニング両名に死罪を言い渡す」


 夫人と娘より重い判決が下された。

 彼女らは主犯ではなく、スカーヴについては未使用もしくは未遂であった。しかし、侯爵は主犯であり、息子はスカーヴを実際に使用した。また、関係が緊張状態にあるエルス王国との取り引きも、その理由となったのだ。


 こうして、筆頭に次ぐ力を持ちながらも、ダニング侯爵家は取り潰しとなり、ギルヴァーナ王国からその姿を消すこととなった。

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