表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隠密侍女は推し令嬢を幸せにしたい!〜推しの兄は同士ですが、何故だか私にも甘いです!?〜  作者: 九条 睦月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/64

38-3.掃討(3)

本日より、完結まで2回更新となります!

 突然、目の前が真っ暗になる。身体が動かない。息が苦しい。

 何とかもがいて顔を上げると、レオナード様が切なげな瞳で私を見つめていた。


「レオナード……様……」

「おかしな気配がして振り返ってみると、マリオンが賊と対峙していた。それを目撃した時の俺の気持ちがわかるかい? 他にも数人いたようだし、マリオン一人に全員でかかってこられたらと……心臓が止まる思いだった」


 レオナード様の腕が強まる。私は、レオナード様に抱きしめられていた。

 どうしたらいいかわからず、とりあえず身体を離そうとするけれど、レオナード様の力には敵わない。少しでも動こうとすると、レオナード様は決して離さないとばかりに、更に引き寄せるのだ。


(こ、これはいったい何事なの!? 私……レオナード様に抱きしめられている? レオナード様がこ……こんなに近い……っ!)


 こうなると、顔を上げたことを死ぬほど後悔した。少しくらい苦しくてもそのままでいるのだった。……だって、レオナード様の吐息が頬に触れるほどのこの距離に、私の心臓がもちそうにない!


「も……申し訳ございませんでした。でもっ……あのままじゃ隊が襲われて、尾行に気づかれてしまうと思って!」

「わかっている……わかっているんだ。マリオンのおかげで難を逃れた。だが……マリオン、もうこんなことはなしだ。今度やったら、邸に閉じ込める」

「え……」

「俺は本気だよ」

「(ヒィィィ!)かっ……かしこまりました」


 レオナード様の迫力が怖い。とんでもなく怖い。これは、決して冗談ではない。この顔は必ずやる。絶対にやる。私はビクビクしながら、何度も首を縦に振った。

 そんな私を見て、レオナード様の表情にようやくいつもの穏やかさが戻り、私は無事(?)解放された。


「さて……取り逃がした奴らが失敗を報告するだろうね」

「あっ! ど、どうしましょう……」


 うっかりしていた。失敗したとわかれば、また何か仕掛けてくるかもしれないし、計画が延期されるかもしれない。

 すると、レオナード様はおもむろに口笛を吹き、ポケットから小さな筒を取り出した。


「それは……?」

「他の隊に状況を知らせる」

「ピューイ!」


 鳥の鳴き声が聞こえて上を見上げると、木の上に大きな鷹がとまっていた。レオナード様が手を上げると、鷹はレオナード様めがけて飛んでくる。


「ライン、これを本隊と別動隊に届けるんだ」

「ピュイ!」


 筒をラインという鷹の足に括り付けると、鷹はすぐさま飛び立っていった。

 緊急や秘密裡に連絡を取りあう際、こういった方法があることは知っていたけれど、実際に目にしたことはなかった。

 ラインは、空の上からこの隊を追っていたのだろう。そして、口笛による招集に応じ、大切な仕事を引き受け、再び飛んでいった。


「ラインは王宮で管理されている伝達鳥だ。経験も長いし、間違いがない。それに速い」

「すごいですね……」


 ステラといい、ラインといい、なんて頭がいいのだろう。


「で……ここから帰れと言っても君は聞かないんだろうね、マリオン」

「はい」


 当然である。

 レオナード様は大きく溜息をつき、苦笑いを浮かべながら首肯した。納得したというより、諦めたのだろう。


「わかった。……行こう、マリオン」

「はい!」


 私はそのまま駆けていこうとしたのだけれど、強引にレオナード様の馬に乗せられる。


(こんなことなら、ステラを帰すんじゃなかったなぁ)


 隊に合流するなら、馬に乗っていては隠密が使えず、すぐにバレてしまう。だから帰したのだが、こうなるなら待機してもらっていればよかった。

 そう思えど、隊はもう結構先に進んでしまっていることもあり、追いつくには自分の足より馬の足。最後までついて行くつもりならやむを得ない。


「申し訳ございません」

「いいよ。俺にとっては役得だしね」

「え?」


 レオナード様を見上げようとした瞬間、馬は走り出した。そして、ぐんぐんスピードを上げていく。


(こ、これは……とんでもないスピード!)


 ものすごい風圧に、油断すると飛ばされそうになる。でも、そうはならない。何故なら、レオナード様が後ろから私を抱きかかえているから。


(こんなすごいスピードで走らせているのに、手綱を片手持ちって!)


 いろいろと規格外のレオナード様に私は大混乱していたが、当の本人は涼しい顔のまま前方だけを見つめていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ