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言葉の分岐を許さない世界

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

私の世界は何時も皆一生懸命で、生き急いでいて、何処か苦しそうです。

正確な言葉と言うのは、なんの解釈の余地も挟まない物だと思ってる? 意外とそんな事ないんだよ。人の解釈で事象が変わる様に、正確な言葉一つとっても事象なんか容易く変わってしまうの。文学や芸術ではそれが面白いところとして判断されるけれど、社会はそうじゃないの。

だからより具体的に、事実に即して物を言うのが本当は大前提なの。でも……多くの人はね、それをやらないの。だって時間が無いから。一を知って十を正確に共有する能力が必要なの。自己の解釈は不要で、ただ相手の解釈だけが正解なの。

……文学や芸術の美しさ、面白さを知る感性は、激動の時の流れによって擦り取られてしまった。


「お悩みかな?」

眉間に皺を寄せて、唇をへの字に曲げた私を見て、梅香の君はころころと笑った。

少しでも安心出来るようにというお気遣いなのかも知れない。長椅子の前には香炉が置かれていて、甘いジャスミンの香りが辺りに充満する。

でもそれだって真意は分からない。梅香の君が何を思い、置いたのか、それはきちんと話を聞かなければ絶対に分からない。

「お仕事をしていると常に思うのです。会話は手短に。多くを話し過ぎない様に。これが基本的な鉄則です。でも……それだと相手の意図が全く読めないのです。『全部取っておいたから』。それは『取る必要の無いものも取った』と言う事ですか? それとも『必要なものだけを取った』と言う事ですか? 何を取ったか具体的にお話をして戴かないと、二度手間を掛けてしまいます」

以前の話。私が上の人に注文を頼んだ時の事。彼はただ端的に『必要なものは全て取ったから』と仰った。でも私にな解釈が二通りの解釈があって、『書かれている物を全て注文したのか』はたまた『自分が注文出来る範囲のもの、もしくは、自分が不要と感じたものを削ぎ落として、必要なものは全て取った』と言うものなのかという疑問が浮かんだ。

故に画面を見せて聞いたことがある。『此処に記載されている物を全てお取したのですか?』と。そうしたら話しは簡潔。『最初からそう言っているじゃないか!! 何で分からないんだ!!』と返された。

「聞き返したのは、いい事だね。齟齬を無くすには、きちんと指摘して疑問を解消する事だ。そうして成長して行くんだよ」

やっぱり、梅香の君は優しい。人の心の隙間を水で満たす様に、じんわりと御言葉が染み渡る。それでも……。

「この世界の時の中で、解釈の分岐は愚か、言葉を聞く時間なんて残されて居ないんです。早く、早く、早く。……皆急か急か動いているから。共有の時間さえ己で作り出せという世界だから」

性にあわないなぁと思う。一を聞いて正確な十を知ることは難しく、聞き返したら皆当然に出来ていると返される。本当に社会不適合者だ。

そうやって、ただ優しく撫でる風とか、鼻腔を擽るジャスミンに酔いしれていた。現代社会で満ちているものと言えば、やはりこの様な優しい自然だろう。

「私はね、君までそんな、あくせくした世界に染まって欲しくはないよ。分岐の、考え方の違いを楽しめる子であって欲しい」

人と会話をする際には、相手が質問し易い様に隙を持たせる。

社会の会話だと手短かつ、隙も持たせないし、質問も出させない的確な指示の仕方が必要なんです。だって時間が無いから。


でもこれ、物凄く難しい事なんですよ。

具体的に緻密に指示を出すなら兎も角、ただ『やっといてね』と言われたら、自分の解釈を挟んで皆様事を進めると思います。

社会はそうじゃないんです。

『やっといてね』と言われたら、その裏にある相手の思考や解釈を読みとかなきゃ行けないんです。


今の世界には、そんな疑問を解消する質問の時間さえきっと残されていないのではないかと。


皆が皆、一生懸命に生き急いでいると感じます。

点滅した信号を渡る時も、一生懸命に走ります。


それでミスを犯したら、事故にでもあったら、代償は大きいんです。

たまには立ち止まりましょうよ。ぼんやりしましょう。

私はずーっとぼーっとしてますが。

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