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7.不穏な動き

他視点です。


 皇城、ジャック皇太子殿下の私室では、側近のヨルダンと内密な話をしていた。


「――なんだと」


 鋭い眼光でジャックが側近へ聞き返すと、それに動じず冷静な態度で言葉を紡ぐ。


「噂の源を影に探らせていますが、既に噂が広まってしまっている状態です」

「影からの報告が遅くなるなんて、皇族の仕業か……?」

「それも調査中ですが、恐らくその通りかと」


 視線で人を殺せそうなほどの怒りを眼に宿したジャック皇太子殿下は、まるで悪役のような表情で呟いた。


「ヴィーが隣国の王女を殺しただなんて噂が流れるなど、腹わたが煮えくりそうだ」

「早急に対応いたします」

「いや、それはいい。俺が指揮をとる」


 側近のヨルダンは、恭しく跪く。ジャック皇太子殿下は、立ち上がり私室を出て、闇へと消えた。



 ***



 ここは、皇城の地下牢の最下層。大犯罪者や、逃してはならない罪人を収容している場所。陽の光も入らず、薄暗く、陰気だ。

 独房に、ブツブツと小さな声を漏らしている大男がいた。


「くそ、あの人形女が全部嵌めたんだ……。兄上はあの女に騙されて、それで俺とリリアンをこんな目に……。あの純粋なリリアンが自ら乱交をするはずなんて、ないのだから……」


 それは、見事に落ちぶれた元第二皇子、イーサンであった。


「許さない……。皇族として悪は見逃せない……。リリアンを救い出して、俺が皇帝にならなくちゃ……」


 意識を保つためか、はたまた無意識なのか、うわ言を続けている。

 食事を運ぶ兵士は、その尋常ではない変わり果てた姿に、表には出さないものの、恐れて不気味に思っていた。


 その日は、珍しくも、イーサンに面会が訪れた。マントを羽織った、中年の男だ。

 兵士は、事務的に案内をして見張るつもりだった。しかし、独房の扉があいた瞬間、眉間に衝撃が走り、声も出す間もなく、暗転する。


 兵士をあっという間に伸したマントの男は、イーサンの前で、フードを取った。


「馬鹿息子め、迎えに来たぞ」

「……! ハーゲン叔父上」

「もうお前は第二皇子ではなくなったのだから、父上と呼びなさい」


 その人は、ハーゲン皇弟殿下。現皇帝の弟で、イーサンの実の父親である。

 現皇帝の息子は一人しかいないため、予備として、養子となったのだが、その事実は皇族と一部の上層部にしか知られていない。


「お前を皇帝にしなくてはならない。さっさとこのような所は出るぞ」

「――はい、父上」


 二人は、突破不可能とされる皇城の地下室を脱獄し、世間を大きく騒がせることとなる。


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