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投稿するの遅れてすいません
m(_ _)m
冬休みに入り、陽馬と凛華は受験のシーズンに入った。2人は1月の新学期から近くの中学校に行く事になっている。そこで、1つの問題が発生した。
「今日から陽馬の強化を目指します!」
僕の家には凛華、陽馬、奏介、玲奈ちゃんが居る。彼らに手伝って貰って陽馬の対人恐怖症を治そうと思っている。
「陽馬、言いたい事はある?」
「変わりたいです。今の自分は怯えてばかりで皆に迷惑かけてばかりで。人とちゃんと向き合わずに、自分の病気とちゃんと向き合わずに生きていた。そんな自分が嫌いだ。だから変わりたいです」
そこまで勇気を振り絞って言った陽馬に皆が拍手する。
「ちゃんと向き合ってくれて、嬉しいですよ」
「何でも手伝うぜ。なんせ俺にとっても弟みたいなもんだからな」
「私も手伝います。頑張ってくださいね」
僕達はデパートへ移動した。ここなら人が沢山居るので、対人恐怖症を治すなら1番いいと思ったからだ。
「それじゃあ、陽馬にはおつかいをして貰おう。大丈夫、僕達も遠くから見てるから」
陽馬は頷く。僕は彼にお金と何を買ってくるのかを言い、お使いに行かせた。
陽馬は怯えてながらも、頑張って商品を籠の中に入れていく。
「なんか、はじめてのおつかいみたいだな」
「何言ってる。これがはじめてのおつかいだよ」
「確かに初めておつかいをしますからね。それにしても、私がいないと外にすら出なかった陽馬がおつかいを」
涙を溢す凛華の頭を撫でながら陽馬の動向を見守る。
着実に商品を籠に入れて陽馬だが、洗剤の場所が分からないみたいでキョロキョロし始めた。
「ここで、店員さんに聞ければ完璧だな」
「陽馬にできるかな?」
「見守るしかできないってのが悲しいな」
「頑張って、陽馬君」
店員を見つけた陽馬だが、怯えて声が出せないようだった。しかし、何とか店員に聞き洗剤のエリアまで連れて行ってもらえた。
「「「「やった」」」」
僕達はつい、歓喜の声を出してしまった。その後、怯えながらも陽馬はそのまま会計を済ませ、僕達と合流した。
「うぁぁぁあ」
陽馬は僕達と合流した途端泣き出した。ここまで逃げるのを我慢し涙をこらえていたのだから仕方がないだろう。
「やればできるじゃねぇか!」
「よくできたね。感動した」
「頑張ったね。泣いていいよ」
「よく頑張ったね。これで一歩進んだよ」
僕は陽馬の頭を撫で励ます。皆も陽馬への歓喜を伝える。
数分泣いた後、陽馬は寝てしまった。僕は彼をおんぶして家に帰る。
◇◇◇◇◇
俺は歓喜に浸った。今まで他人と話す事ができなかった自分が話す事ができるようなったのだから。
それに俺の事を応援してくれた人達がいる事、俺の事で喜んでくれる人達がいる事、俺の事に一生懸命向き合ってくれた人達がいる事、それが1番嬉しかった。
昔の家族は糞だと思う。俺を殴り、暴言を履き、捨てた。昔はあれが家族の関係性だと思っていた。
でも違った。施設や堺家に来てからは優しく接してもらった。そして、沢山の愛情を注いでくれたと思う。
しかし、愛情と言うものを知らなかった俺はただうざいと思ってしまった。
今、後悔した。うざいと思った自分を。
今、気づいた。皆の暖かな気持ちに。
今、知った。俺はこの人達とはやっていける事を。
そう思いながら俺は泣いた。