Tips 22 魔法の手掛かりは
ショーの手品とはちがう中で、筆者が初めて知った魔法とは。
とある小説の魔法使いの、眠りの呪文である。
魔法使いとその一行が敵兵の群れに追われているとき、
かれがこの呪文を唱えると、敵兵はみな、
あっさりとパタパタ眠り伏してしまうのだ。
魔法使いたちはおかげで無事に逃げのびる。
そのとき少年だった筆者は、
これこそが、魔法で。そうしたことを可能にする呪文の文句こそ、
まさに力がある……などと信じ込んだ。
そんな呪文が実在するなら、見つけたい、知りたいと羨望した。
活字になっている呪文の文句を唱えてみて、
ほんとうにできるかな、なんて試していた。
むろん、子供だましである。
しかし。その小説における、ほんとうの魔法とは、
会話からの知識の引用と、駆け引きに如実に現れていた。
その魔法使いは。その知識から、たとえばいま仲間のいる場所はどこで、なにに警戒すべきかとかを事前に的確に忠告するのだ。
敵に襲われたら、これはここが弱点だ、とか。危ないから伏せろ、とか。かなわないから逃げろ! とかを的確に指摘する。
これこそが魔法の真の骨子であろう。
しかも。仲間が敵に捕らわれたとき。敵から仲間を殺すぞ、と脅されるが。
魔法使いは「それがどうした?」などと返答し、これには敵も二の句が継げず、結果として仲間のいのちを救っている。おそろしい狡猾さ。
これこそ、まさに魔法レベルの呪文であろう。
ゆえに繰り返すが、【魔法】とだけ聞いて、
「そんなもの現実にありえるか!」
などと返すのは軽挙妄動である。
この書は。かく真実を語る。〆




