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8話・妖精さんは模擬戦をするようです

間が空いてしまって済みません。

「ふむ。お前さんも模擬戦やってみるか? アキトのお墨付きがあるから心配はしていないが、俺としてもどれだけできるか見てみたいんだが」


 お、アキトは随分と評価されているみたいだね。

 Bランクってそんなにすごいのかな。


「模擬戦! やるよっ! ボコボコにしてあげるからねっ!」


「はっはっは。面白いなお前。妖精じゃなくてもそういう性格は好きだぞ」


「え? 好き?」


 ポッ。


「いやちょっと待て。変な意味で言ったわけではないからな、勘違いするなよ」


「わかってるわよーだ」


 好きなんて面と向かって言われたことがなかったから、つい反応しちゃっただけだよ。

 ほんとだよ。


「じゃあ、降参するか、戦闘が継続できなくなるまでということでいいか。殺してしまったり重傷を負わせたりした場合も負けだ」


「うん、わかったー」


 ケガさせても直しちゃえば別にいいよね?

 魔法は色々試してみたからね。

 回復魔法だって使えるよ!


「じゃあ俺が審判をやろう。二人とも準備を始めてくれ」


 アキトが審判役を買って出てくれた。


 私は武器を使わないので、特に準備は必要ない。

 事前に魔法を準備しておくのは無しだろうしね。


 ギルドマスターは武器を選んでる。

 あれはロングソードだね。

 一応刃引きはしてあるみたいだけど、んー、あれが当たったら私なんて簡単にぽっきり折れちゃうよね。

 防具も着てないちっちゃくてか弱い妖精だからね。

 始まったらすぐに逃げよう。


「私はいつでもいいよー」


「よし、こっちも準備できたぞ」


 アキトは頷くと、開始の号令を掛けた。


「勝負、始め!」


 私はまずはその場で障壁を展開して身を守った。


「シールド!」


 ギルドマスターは一気に突っ込んでくると思いっきり私に切り付ける。


 ガキン!


 ひえー。

 危なかった。

 っていうか、寸止めして無かったよね? あんなの当たったら一発で死んじゃうよ? 怖いよ?


 私はギルドマスターの脇をすり抜け反対側に回り込むと、魔法を放った。


「エアバレット!」


 ちょっと横文字でかっこ良さそうな名前だけど、元ネタはあの秘密道具の空気砲だ。

 これならケガをさせずに使えるからいいかな、と思ったんだけど。


 ピシッ、ピシッ、ピシッ。


 ギルドマスターにちゃんと当たったのに、ノーダメージだったのだ。


「ふはははは。そんなもんは効かんぞ!」


 むむぅ。

 身体強化してるな、きっと。


 しょうがないな、もうちょっと威力を上げよう。


「それじゃ、密度2倍、速度も2倍、どうだ!」


 空気を圧縮する密度を上げて、さらに速度も上げた。


 ドスッ、ドスッ、ドスッ!


「ぬお! いたっ、いたたたっ!」


「おおー、ちゃんと効果あるね。じゃあもっと痛くしちゃうよ!」


「な、なにい!」


「よーし、密度10倍、大きさ10倍、ついでに数も10倍、そーれ、いっちゃえー!」


 ドゴンッ! ドゴンッ! ドゴンッ! ドゴンッ!


 今度はギルドマスターもまずいと思ったのか、当たらないようにかわしていった。

 すごい、透明なのに見えているのかな。


 地面に当たった魔法で訓練場はボコボコになっていった。


「ぬおー、なんじゃこりゃあ!」


「あはははは。そーれ頑張ってよけろー! 当たると痛いよー、どんどん行くよー♪」


 剣が届かなそうな高い位置に移動して、高みの見物としゃれこみながら、次々と空気砲を打ち続けた。


 そしたらギルドマスターは壁に向かって走り、そのまま壁を駆け上がるとこちらに向かって飛び掛かってきたのだ。


「ぬん!」


「そんな無茶なあ!」


 私は地面に叩きつけられたけど、シールドごとだったからダメージは受けなくて済んだ。

 ていうか、ダメージが通ったら死んじゃってるよ!


 衝撃でちょっとフラフラしながらギルドマスターのほうを見ると、追い打ちを掛けるために振りかぶっていた。


 こ、怖い!


 私はとっさに空気砲をギルドマスターに目掛けて撃った。


「キャーキャーキャー!」


 もうめちゃくちゃに撃った。

 撃って撃って撃ちまくったよ!


 至近距離だったから全弾命中して、ギルドマスターはその見えない空気の塊を喰らって空中に飛ばされた。


「キャーキャーキャー!」


 さらに撃ちまくった。


 ギルドマスターは空中で喰らいまくって落ちてこない。


「キャーキャーキャー!」


 さらに撃ちまくった。


 おー、空中コンボだね!

 ギルドマスターは、避けることもできずボコボコにされている。


 あ、ボコボコにしてるのは私か。


 やっと落ち着いてはきたけれど、いつ止めればいいのかわからなくてしまった。


 もっと撃とうか?


「その辺でやめときなよ」


 そう、アキトが声をかけてきた。


「ギルドマスター、もう気を失ってるよ」


「え、ほんと?」


 私が撃つのをやめると、ギルドマスターが落下してくる。


 ビタン!


 ピクリとも動かない。


 死んだふりじゃないよね?


 確認のためにさらに撃ち込んでみる。


 ビクン!


 ほら、動いた!


「いや、それはさすがにやりすぎだよ」


「ん?」


「完全に気を失ってるよ。死体に鞭打つのはやめてあげなよ」


「そっか。死んだふりしてるかなって思って」


 動いたように見えたのは、単に衝撃で動いただけみたい。


「えーと、私の勝ち?」


「うん。ミサキの勝利だ」


 よし、勝った!


 勝利の余韻に浸っていると、冒険者の人達が話している内容が聞こえてきた。


「妖精強いな!」


「ああ、ギルドマスターの攻撃を防ぐ防御魔法なんて、俺には無理だぜ」


「それに同時に何発撃ってた? あんなに制御できないだろ、普通」


「死体に鞭打つ妖精こわい」


「ああ、それな」


「「「「ようせいこえー」」」」


「可愛いじゃん!」


 え? え? え? 怖いの? それとも可愛いの? どっちよ?


 でも私がギルドマスターを倒せるだけの強さは認めてもらえたみたい。


「ミサキ、ギルドマスターを回復してあげてよ」


「あ、そっか」


 ギルドマスターのところへ飛んで行って、魔法をかけた。


 ヒール!


「う、うーん。ああ、負けちまったのか。すごいなミサキ。結構本気で戦ってたんだけどな」


 いやいや、本気で戦うのはやめてください。

 死んじゃうから。


「よし、お前ら! この妖精のミサキは今日から俺たちの仲間だ! 仲良くしてやれよ!」


「「「「「おおー!」」」」」


 やった!

 私のことを認めてもらえたみたいだ。


「よし、これから宴会だ! 飲むぞ!」


「「「「「おおおーーーー!」」」」」


 え、宴会?

 っていうか、こっちのほうが反応いいよ!

 やっぱりお酒には負けちゃうみたいだよ!


エロ要素がない。

がっくし。

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