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僕たちの、出会いの話

お待たせしました!!

やっと投稿できたー!!やっぱテスト期間にやるのはきついですね(勉強しろ)!!


今回は僕史上最長となっております。心して読んでください。

※あくまでも個人の記録によるものです。



あああああああああああたあああああやっちまったぁ

本屋バイトなはずなのに初めのところにコンビニバイトって書いてあったァ

すんませんでした

 ジリリリリリリリリリリ


 今時珍しいベル式の置時計。そこから発せられる騒がしい音で僕は目を覚ました。手をグッと伸ばし、ボタンを叩きつけるように押す。再び僕の部屋は静寂に包まれた。


「ふぁ〜ぁ…」


 欠伸をしながらのっそりとベッドから起き上がり、フラフラとした足取りで洗面所へ。バシャバシャと顔を洗って、ようやく意識がハッキリしてきた。



 部屋へ戻り、充電器からスマホを引き抜いて画面を開く。そこに表示された今日の日付を見て、僕はため息をついた。


「はぁ…。今日バイトの日だ…」


「何もしてないなら働け」と母さんから言われ、半ば強制的にやる羽目になったバイト。ぶっちゃけヤル気が出ない。

 それでも月に数万貰えるのは大きいから、サボったことはないけどね。やっぱしお金は大事だよ。使うとこないけど…。


 大した趣味を持っていない僕にとっては文字通り宝の持ち腐れだ。



 朝から気分がマリアナ海溝並に沈んだ僕は、ダラダラと着替えてリビングへ向かった。


 ご飯を茶碗によそい、卵と醤油をかけてぐちゃぐちゃとかき混ぜる。TKG(卵かけご飯)の完成だ。少し茶碗の外にこぼれたが気にしない。これもまたダラダラと口に運ぶ。



 しかし、ダラダラとしていたためすぐに登校時間になってしまった。僕はご飯を残してカバンをひっつかみ、急いで家を飛び出した。背後から聞こえてくる母さんの怒った声を耳にししながら。


 はぁ、家帰ったら多分説教だなこりゃ…。


 ♢


 少し歩いて住宅街から出ると遮蔽物が消え、太陽の光が降り注いだ。思わず僕は手で顔を隠す。


 3月といえば冬もほとんど終わり、春へと移り変わっていく季節だ。空気は暖かくなり、梅の花もほとんど咲いている。偶に鶯の声なんかを聞く時もある。花粉症さえなければとても心地良い陽気だ。


 しかし、この陽気は心地良いが故に意識を朦朧とさせる。ぼーっとしていた僕は後ろから来る影に気づかなかった。


「よっ!!歩夢(あゆむ)!!」

「っぁあ!?」


 急に肩を叩かれ、僕はビクッと肩をはね上げた。とても心臓に悪い。


「どうした歩夢?いつもなら俺が肩叩く前に気づくのに」

「あぁ、陽太(ようた)か」

「おう。君の親友陽太君だぞ」

「今日は何か暖かいからぼーっとするんだよ」

「いやスルーすんなよ」


 このおちゃらけてるのは東出(ひがしで)陽太(ようた)。小学校の時からの同級生だ。と言っても、よく話すようになったのは中学の時からだけど。陽太は中学の時、僕を庇ってくれた数少ない人間の1人だ。その時からよく一緒に居るようになった。

 この雰囲気から分かる通り、陽太はいつも上位カーストにいるクラスのムードメーカーだ。裏表のない明るい性格で、とても人望がある。周りから僕と一緒に居ることを問題視される程だ。



 そして、陽太がいるということは。


「よ〜く〜ん!!あゆくんを見た途端に急に走り出すのやめてよ〜!!」

「べ、別に歩夢を見たから走り出した訳じゃないから!!てか走ってないし!!」

「はいはい乙乙」

「あ、あゆくんおはよ!!」

「あー。おはよー詩葉(ことは)


 (こがらし)詩葉(ことは)。陽太の家の隣に住んでいる同級生で、陽太と同じく中学の時から一緒にいるようになった。美少女と言っても差し支えない程の容姿を持っており、何より活発で見ているとこちらまで元気になる。その為男女問わず人気がある。

 うちの高校にはファンクラブなるものもあるらしい。だから、僕が一緒にいるとどこからともなく殺気の篭もった視線を向けられる。


 別に詩葉にそういう(、、、、)気持ちがある訳じゃないのだから勘弁して欲しい。



「しっかしあゆくんは随分と暗い顔をしてますなー。なんかあったの?」

「いや、ただ単に今日バイトがあるだけだよ」

「あれ?今日バイトの日だっけ?じゃあ、あたしとよーくんも行っていい?」

「あ、俺も行くのね」

「別にいいけど…。本屋なんだからなんもないよ?」

「あゆくんがいるじゃん」

「なんだそりゃ」


 いつもの様にだべりながらいつもの道を通って駅へと向かう。代わり映えのしないいつもの日常。この大した変化もない時間が、日々が、僕は好きだった。




 15分程して最寄り駅である緑町駅に到着した。学校へ行くにはここから大雄山線で一旦小田原駅まで行き、JR東海道線に乗り換えて鴨宮駅まで行く必要がある。時間はそこまでかからないが、乗り換えが面倒臭い。大雄山線とJR東海道線の乗り口は別の階にあるのだ。


小田原駅に着くと、そこは通勤途中の会社員や登校中の学生でごった返していた。

こんな人混みの中にいると気が滅入りそうだ。



 ゆっくりと3人肩を揃えて階段を登って行く。

 途中、何人かの会社員に追い抜かされた。僕らはもうすぐ春休みだが、そんなものは彼ら彼女らには関係ない。春休みの予定を話し合っている学生達を横目に会社へと向かって行く。その顔は疲れているように見えるが、僕ら学生達を見る目はどこか懐かしさを孕んでいるように見えた。



 僕らにとっては今の出来事でも、大人にとってしてみればかけがえのない過去の想い出なのだ。

 そう思うと、なんだかもっと1日1日を大切に生きねばという気持ちが起こってきた。


 ♢


 とはいえ今日も特に変わったことは無く、ぼーっとしているだけで時間は過ぎて行った。



 気がつけばもう6時間目も終わる頃。時計の針は16:12を指している。あと3分で今日の授業は終わりだ。

 ということは、もうすぐバイト行かなければならない時間だ。


 僕が働いているところは小田原駅の近くの商店街にある親戚が経営している書店だ。僕は親戚のよしみで働かせてもらっている(強制)。結構小さい店で、従業員は僕を入れて4人程度。

 と言っても、爺さんはさすがに歳なので僕とはとこと大叔母さんの3人でやっているようなものだ。


 何が大変かと言うと、人がほとんど来ないところ。来るとしても常連さんが数人とその他に2,3人程度。それだから、ほとんど立っているだけのようなものなのだ。はっきり言って退屈である。


 はぁ、面倒臭い。



 そんなことを思いながら外をぼーっと見ていると、お腹のあたりに激痛が走った。そして襲ってくる急激な便意。


 堪らず僕は手を挙げる。


「先生…、トイレ行ってきます…ッ」

「お、おう。どうした?大丈夫か?」


 質問には答えず、僕は席を立ち上がり教室から出て走り出した。僕の教室は7組だから、トイレには割と近い位置にある。


 今なら間に合うッ!!



 僕は急いでトイレに駆け込んだ。


 ♢


 ジャーーーー

 ガチャンッ


「ふぅ…危なかった…」


 トイレから出てほっと一息。

 僕の体の中を暴れ回った下り龍は無事体の外へ出て行った。下痢ポーテーションを使うまでもなかったな。サバンナ高橋じゃないけど。



 さて。今の時間を確認してみよう。僕は壁にあった時計を見た。

 そこに表示されていたのは、4の字を指す短い針と6を指す長い針。要するに16:30。


「って完全に授業終わってるし!!しかももうバイトの時間だ!?」


 急いでトイレを飛び出して教室へ向かう。今ならまだ間に合うはずだ。



 教室にはまだ明かりがついていた。もしかして誰かいるのだろうか。僕はゆっくりとドアを開いた。




 すると、そこに居たの1人の美少女だった。肌は白くスベスベとしていて冗談抜きで雪のよう。開け放たれた窓から吹き込む春風になびいている黒髪は、夕陽に照らされて輝いている。胸はそこまである訳でもないが、引っ込むところは引っ込んでいてテレビで見る女優のような体型だ。


 夕焼けの教室に佇む様子はとても絵になっていた。


 まるでラノベのヒロインのように見えた。



 その光景に僕ははっと息を呑む。心臓が飛び出そうになる。何故なら、彼女は学校中の男子の憧れの人だから。立派な男子高校生である僕もその例外ではない。



 彼女の名前は涼原(すずはら)鈴香(すずか)。僕よりひとつ上の高校二年生で、この学校の生徒会長でもある。文武両道、才色兼備。冗談みたいな完璧超人なのだ。

 しかも、悩み相談などもやっているらしい。それも人気の要因の1つだろう。

 彼女に救われたという人間は両手で数えられないくらいいるという話だ。




 その時、僕はふと気づいた。その綺麗な手に持っている少し黄ばんだ原稿用紙に。それは僕のよく知っている、というか僕の物で。


「ちょっ、それ僕の!!!?」


 思わず駆け寄ってひったくろうと手を伸ばす。

 だめだ…。それだけは人に見られたら困るんだ…。僕はもう、あんな(、、、)悲劇を繰り返したくない。



 しかし、僕の意に反して会長は僕の手を避ける。

 僕は慣性の法則に従って窓に激突した。


「うぐぅッ…!!!?」


 すると、会長は可笑しそうに笑いながら僕に話しかけてきた。


「これ、もしかして君の?」

「……」


 僕は質問に答えずにもう一度手を伸ばす。しかし、また避けられてしまった。


「へぇ、君のなんだ」


 会長はまた笑う。何がそんなに可笑しいのだろうか。


「…だったらなんだって言うんですか」


 僕は嘲られることを覚悟しながら聞き返した。いくら会長でも、人を嗤うことはあるだろう。だって人間だもの。人間というものは常に他人を貶めている、そういう生き物だ。会長も例外じゃない。



 しかし、会長は僕が思っていることとまるで違う言葉を発した。


「いや、この小説、とても面白いから。」

「…へ?」

「どの登場人物も皆個性豊かで、人間味に溢れてる。まるで生きているみたい」

「……」


 想定外の褒め言葉に、脳がフリーズ。僕は訳が分からず言葉を返すことが出来なかった。


 会長は続ける。


「この小説には、君の心が篭もってるのよ。他の人たちを楽しませようとする意思がね」

「………」

「君、名前はなんて言うの?」

「…う、現屋(うつつや)歩夢(あゆむ)です」


 なんとか口を開いて名前を言う。声が震えていた。


「現屋 歩夢君か。歩夢君、君、小説家になれるよ」

「…──ッ!!」


 声にならない音を漏らす。


 僕はただ、嬉しかったんだ。誰かに褒めてもらえるのが。そりゃぁ、小さい頃はよく褒められていたよ。だけど、中学でのいじめの後、小説家の夢を失ってしまってからこんな風に言ってもらえるとは思っていなかったんだ。


 だからこの時、僕はただただ嬉しくて、決壊しそうな涙腺をなんとか保つことでいっぱいいっぱいだった。

ヒ○アカとか言わないでくたさい!!別に意識した訳じゃないから!!


次は洞穴に刺さっ(以下略)を更新すると思います。


誤字や文法ミス、ストーリー自体に対するご意見等ございましたらコメントしていただけると助かります。感想もお待ちしておりますのでどしどしコメントお願いします!!

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