戦闘
長くなりました。
「やーねぇ。ひどい顔してるわよ?」
書斎から出たフィアラを待っていたのは微笑みを浮かべた女性だった。いかにも村人というような服装にエプロンを付けている。その手にはおたまが握られている。
「たくさん絞られたみたいね。あんまりいじめないでって、怒っておいたから!」
ウインクをしてアピールをする女性。フィアラはため息をつき口を開く。
「別にいじめられたわけじゃないよ、ソフィ姉。それより、料理はいいの?」
「ええ、今煮込んでいるから大丈夫よ。放置してる時間だから!」
えっへんと胸を張るソフィ姉ことソフィア。ロウのパートナーである。ロウの妻のように振る舞うが結婚をしているわけではないため、正式には妻ではない。結婚してさらに愛を爆発させてしまえ。とフィアラは思ってる。
「まだまだ御飯は出来ないけど…どうする?少し出てくる?」
「んー…そうだね。ちょっと出かけてくる」
「あまり遅くならないようにね」
はーいと返事をして外に出る。
ーーーー
ーー
スターティア西の丘。緩い傾斜の丘で草原が広がっている。頂き付近には数人が座れるような大岩があり、人間魔物問わずピクニックをしている姿が見られる。
家を出て村に向かおうとすると、通りすがりの人に声をかけられた。村の人間だ。フィアラが散歩中、よく挨拶しては世間話をするような仲であった。なんでも丘の頂上付近に小鬼が出たという。ロウにも話をすると、
「依頼として扱うだろうから先行ってきな。俺も後から行くから」ということで、フィアラは一人、丘を登っていた。
丘にて遭遇する魔物は主に小鬼ことゴブリン、豚の魔物オークである。時々ウルフとも遭遇するがフィアラの実力であれば、3匹程度の群れが相手でも余裕で討伐が可能だ。
何も出くわさず、頂上にたどり着く。大岩の上で小鬼が3匹陣取っていた。
他にもいないか周囲を見渡す。背の低い草原なので何もいないことはすぐに分かる。大岩にもう一度近づくと小鬼達がこちらに気がついた
「ギャギャ!」『おい人間だぜ。やっちまおう!』
「ギャギャギャ…」『愚かな。我ら小鬼三天魔が我らに楯突こうとはな』
「ギュ〜…」『豚いないかなぁ…豚肉食いたい』
と話し、3匹揃って棍棒を取り出すや否やフィアラに向かってくる。対する彼女も剣を抜いて構える。
集中ーー向かいくる1匹目掛けて剣を突き出す。命中。貫通された小鬼はぐったりとうなだれ、絶命する。剣を引き抜いて横から殴りかかってきた攻撃をかわし、横薙ぎで斬る。
仲間が即座にやられたのを見て悟ったのか、背中を向けて逃げ出す。フィアラは逃がすつもりはなかった。手を突き出す。小さな風の矢で射るイメージを浮かべて唱える。
「切り裂け風の刃!ウィンドアロー……くっ!」
魔力の流れに違和感を感じ、顔をしかめる。フィアラの手から出たのは確かに風の矢だった。ただし、ロケットのような巨大な矢。
巨大な矢は標的に向かってまっすぐ飛ばず上空へ。燃料が尽きたかのように勢いを無くして矛先を地上に向け落下。どうなるかを察したフィアラはその場でうずくまる。直後、猛烈な風が辺りに吹き荒れる!
風がおさまって辺りを見渡すと、一部の草が無くなっていた。小鬼の姿はない。吹き飛ばしてしまったのだろう。
「また失敗した〜!」
原因はよくわからないが、魔法はよく失敗してしまうのだった。




