潜入知識
「あまり散らかすなって、紙に書いてあっただろう」
取り上げた本を机に置き、引き出しの中身を元に戻す。机に置いてあった紙を見るとニヤリと笑った。
「ほーん、これも見つけたのか。フィー、想像以上にやるな」
「お兄ちゃん、その紙もそうだけど、その本は…?」
普段なら褒められて喜んだところだろう。内心嬉しかったが、それどころではない。内容が気になっている置かれた本に指差す。
「日記帳だ。この紙は隠してた情報。また1つ勉強になったな。で」
ロウは本を手に取り、見せながら少女を睨む。
「どこまで読んだ?」
鋭い目付きから発せられる威圧感、応えようによっては…と言わんばかりの迫力にフィアラはたじろぐ。
ロウは村の中でも上位の実力者だ。一緒に住んでいるだけあり、その実力を何度か見たことはある。また、フィアラの剣の稽古をつけてもらっているが、対峙する時の威圧感は慣れることはなかった。今の威圧感はそれを遥かに上回る圧力のように感じる。
逃げ出したくなる気持ちを抑えて答える。
「さ…最後のページだけ…」
「だけ?他のページは見てないのか?」
「めくろうとしたらお兄ちゃんに取られた」
ふむ…とロウは考え事をするように本棚に目を向ける。逃げるなら今!と足に力を入れて、動こうとするが…
「見てるよ」
声をかけられて足が止まる。ダメだ、逃げられない。こういう時どうしたらいいんだろうか?ロウが近づいてくる。顔を近づけてニッと笑う。
「結構威圧感出したつもりだったんだが、へたれ込まなかったな。いいぞ。最後まで生きようとする姿勢は評価しようか。…次は見つかった時の脱出手段まで考えような?」
言われて足の力が抜けて座り込んでしまう。ロウは話しながら本棚へ向かい本を本棚に戻す。
「情報を得るために、立入禁止区域に潜入することも今後もしかしたらあるかもな。潜入するタイミングの見極め。この部屋程度だったら俺とソフィアがいない時に入ればいいな。目的の物、場所、見張りの位置行動を把握することも大事だ。そして、脱出」
出口に移動しドアに手を掛ける。
「依頼、作戦も大事だが、命の方が大事だ。生きて出なければ次はなくなる…当然だな。いついかなる時も外に出る方法は考慮しておくこと。こんなところか」
ドアを開けて、振り返らずにもう一度口を開く。
「この部屋の主が俺じゃなかったら…本当の潜入だったらどうなってたかな?それと…」
目だけ未だ座る少女に向ける。
「こんなに早く日記を見つけるとは思わなかった。恐れいったよ。だが少し時間をくれ。日記については必ず話す」
それだけ言ってロウは部屋から出た。
この話のロウの話は全て筆者の妄想です。
今までもそうですが、以降フィアラが学ぶ知識も大体筆者の妄想となります。




