旅の行商人ー2ー
遅くなりました
ーーーー
ーー
ー
「なるほどね…闇属性の魔力か…」
スープを飲み終わった商人は器を置きながら話を始める。
「うん…それくらいであたしはなにもしてないんだ。ただただ、闇属性があたしにあるだけでこんな状況になっちゃってて…」
「それは理不尽だね」
「でしょー?やっぱそう思うよねー」
商人はコップを取り出し、水を入れてフィアラに差し出す。フィアラは受け取ると口に運び、ぐいっと一口含む。
「さっきもそうだけど、キミはもう少し疑ってかかった方がいいかな。今もらったものが毒だったらキミはそこでおしまいになっちゃうよ」
「う…おしまいは嫌だなぁ…気をつけるよー」
そう言いながらもフィアラはコップの水を飲み干した。
「分かってるのか分かってないのか…世の中には一度信じさせておいて後から毒を盛るっていう輩もいるみたいだから、信頼関係はしっかりしないとだよ」
これはただの水だけどと付け足す商人。
「うーん、そうなると気をつけようがない気がするなぁ。きっとあたし自身も信じきっちゃってると思うから…」
「差し出されたものから悪い気を感じ取れるとか、そういうのが分かるようになるといいね…闇の力でわかるんじゃない?」
「あー、そういえば何となく悪いものには敏感な気はする…ような?」
首をかしげる。言われてみたらそんな気はしていたかもしれない。ちょっと気をつけてみようか。
「しかし…私に心を開いてくれたようで嬉しいよ。それに面白い話を聞けた。ありがとう」
「ううん、この程度の話しか出来なくてごめんね」
「いやいや、そんなことはないよ」
言いつつ、商人はガサゴソと荷物から二振りの剣を取り出して掲げる。
「それは?」
「これはね、ある人物が使っていたという双剣だよ。」
掲げた剣を下ろして目の前に置き、商人は話を続ける。
「最近までの話なんだけど、人間の姿をした魔人がいたんだ。闇の魔力を身に纏い、南西を中心に跋扈していた。近寄る人間を襲っては剣で斬りつけ、時には大きな街を滅ぼしたこともあったんだってさ。今は討伐されたようなんだけど、これはその魔人が使っていたとされる剣なんだ。もちろん、嘘か本当かはわからない。私もこれは祖父から受け継いだものなんだけど、どうにも荷が重くてね」
商人はもう一度剣を取り、フィアラに突き出す。
「キミに譲ろうと思う。他でもない、闇属性の魔力を持つキミに。どうか受け取って欲しい」
フィアラは少し考えて、すぐに剣を取る。
「…一応聞くけど、あたし以外にはいなかったの?本当にいいの?あたしが貰って」
「うん。いるにはいたかもだけど、はっきりと教えてくれたのはキミが初めてだ。だからキミに譲るよ」
商人は笑って言った。フィアラも剣を抱えて笑う。
「ありがとう」
「どういたしまして」
この後も商人と他愛ない話を繰り広げたのだった。




