夢-2
夢を見てる。
そう自覚できたのは、自分が空を飛んでいるからだろう。背中に翼が生え、羽ばたいて宙を舞っている。
このまままっすぐ、自由な大空の世界を飛び回るのだ…と思ったのもつかの間、自分は急降下し、大地へと降り立った。着地した直後、背中の翼はふっと消え失せ、普通の自分の身体へと戻る。
目の前には海が広がっていた。地平線の先では日が沈み、キラキラと水面を輝かせていた。
不意に自分は暗くなりつつある海に入っていき、深くなったところでザブンと飛び込んだ。
ブクブクと泡が出て、段々息苦しくなると自分が何かを呟いた。直後、脚が尾ひれへと変化し、人魚となって暗い海を泳いで行った。
またしても場面は変わる。
火事だ。
燃えゆくのは街並み。立ち並ぶ家々は灼熱の炎に巻かれ、ことごとく崩れ落ちてゆく。
街道を歩いていると数本の矢が身体を貫かんと飛んでくる。しかし矢は自分を貫くことなく地に落ちた。
自分は嘆息する。愚かな。これだけの力を見せられてまだ抵抗するか。ならば…
自分は何かを呟き、身体を変化させる。人型をしていた自分の身体は巨大な体躯へと変貌、翼を生やし手足には鋭く尖った爪が伸びる。お尻も伸びて長い尻尾が出来上がる。頭部も変化する。ツノが生え、口にはギザギザした牙を作り上げた。
変化を終えた自分であった身体は、空高く飛び上がり、街で一番高かった建物にしがみつき、天高くに吠える。その姿は真っ黒なドラゴンだった。眼は赤くギラギラ輝き、矢を放った者共を見下す。そして息を吸い込むと炎を吐き出し、街をさらに焼いた。
再度炎に包まれた街は温度をさらに上げ、ドロリと溶け出す。矢を放った者は炎を受けた瞬間、存在した事実ごと消え失せた。
黒いドラゴンはつまらなそうに息を吐くと翼を広げて空へ。暗闇広がる大空へ飛び去っていった。
そして場面はまたしても変化する。
二本の剣を持った黒い人型と、風を身に纏って戦う人間の姿があった。黒い方は禍々しい笑顔を浮かべ、風人は必死に剣を振っている。
激しい剣戟の後、2人は距離を取り、同時に構える。そしてーーーそこで世界は暗転した。
どのくらい経っただろうか。目を開けると星空が見えた。満点の星空だ。近くにはパチパチとたき火が音を立てて燃えている。
「これは…夢?それとも…」
「夢じゃないと思うよ」
すぐ近くに男の声と気配があり、そちらに顔を向ける。いつの間にやら男が自分の顔を覗き込んで来ていたのだった。




