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魔人フィアラー旧作ー  作者: 猫人侍
南の大陸〜少女は西へゆく〜(仮)
22/29

森の出口の戦い



森をかけるフィアラの目の前に橙色の光が見えてくる。日の入り前なのか光もどこか弱々しい。


「出口…あそこが…!」


しかしその足は不意に止められてしまう。目の前を蜂の姿をしたものに遮られてしまったからだ。

その姿は普通の蜂のようだった。違うのは大きさ。人の頭ほどのサイズにドリルのような鋭い針。人の身体など簡単に貫きそうだ。ここは通さんと言わんばかりに羽音をたてる姿を見据えて、フィアラは剣を抜いた。


「今のあたしはすっごくイライラしてるから、容赦しないよっ!」


言いながら剣を振って蜂を切る。胴体を真っ二つにされた蜂は、緑色の体液を撒き散らしながら地面に落ちる。すると仲間の死を嗅ぎつけたのか新たに数体の蜂が現れた。現れた先からフィアラは剣を振って切り落としていく。しかし蜂達は次から次へと現れては襲いかかってくる。


「次から次へと…しつこいっ!」


体当たりをしてくる蜂を避けて胴体を切り落とす。

最後の一匹を斬ると新たにもう1匹現れた。


その一匹はそれまでに斬った蜂とはどこか違っていた。大きさは同じだが色は黒く、眼が真っ赤に光っていた。また黒いモヤのようなものをその身に纏わせている。


(…あれ。どこかで見たような…?)


その姿には既視感があった。つい最近蜂ではないが同じような姿を見た、そんな気がしていた。

呆然と見ていると、黒い蜂は身体を引っ込めてすぐにおしりを突き出した。その先に付いていた針がフィアラに向かって飛んでくる。

とっさに躱す。すると後ろから何かが削れる大きな音が響いた。何事かと振り返る。背後にあった木が穴を空けていた。飛んだ針の大きさ以上の大穴だった。


すぐに蜂に向き直る。幸い何もしてきてはいなかった。針が当たったら取り返しのつかないことになりそう。フィアラは剣を持ち直した。


蜂も様子を見てるのか動く気配がない。フィアラは駆けて蜂に剣を振り抜く。しかし、キィン!と金属音がして弾かれてしまう。


「っ硬ったぁっ!?」


蜂が好機と思ったのか翻り、針を突き刺さんと突き出しながら突進してくる。気づき躱そうとするが、躱し切れず掠らせてしまう。


「うあああっ!!」


悲鳴をあげて腕を抑える。掠った腕からはだらだらと血が流れ、力が入らない。


「こ、これじゃ…」


剣は振れない。残る手は魔法しかないが、上手くいくかわからない。蜂はお構いなしに身体を引っ込めて針を飛ばそうとしていた。


「一か八か…はあああっ!!」


手のひらに火の玉をイメージして火球を作り出す。それを蜂に飛ばして爆裂させる。爆発に巻き込まれた蜂はその身を燃やしてその場に落ちた。


「…やった…の?」


あまりにあっけない終わりにフィアラは力を抜いて膝をつく。肉が焼けこげる臭い。外皮だけ金属質で内側は普通の胴体だったようだが、そんな作りをした蜂など歪で気味が悪い。


不意にゴトッと音がしてそちらに目を向ける。

どこかに引っかかっていたのだろうか、黒い玉が転がっていた。


「何これ?」


フィアラが呟いたと同時、ピシピシッと音を立ててひび割れ、そのまま割れてしまった。

割れたと同時、黒いモヤが天へ昇っていく。


「なんだったんだろう…」


腕を抑えつつ立ち上がる。剣を拾って鞘に納め、森の出口へ向かう。


日はすっかりくれて、辺りは薄暗くなっていた。森から出たところでフィアラは身体の異変を感じた。


急に目眩がしたと思うと身体に力が入らず、倒れてしまう。体温が急速に冷えて寒気を感じた。


(…さっきのやつの…毒?……やば…い…しき…が……)


そのまま声にも出せず、意識を手放してしまった。



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