夢-1
黒い世界。
ゆらゆらと揺らめくその世界で、少女は眼を開いた。
身体は動かせず視界に入って来る真っ黒な景色だけが世界の全てだった。思考もぼやけており、考えもうまくまとまらない。
(……ゆ…め……?)
直感的に夢を見ていると思った。ここは夢の中だ。少女の、フィアラの深いところが、彼女の脳裏に浮かんできている。
ふと、目の前に光を感じた。光が少女に向かって来る。急な光を前に目が眩み、一瞬意識が飛んだ気がした。
次に見えてきたのは、黒い物体と負傷した悪魔の姿だった。見覚えがあるような気がするその姿。どす黒い液体の溢れる腹部を手で抑え、苦悶の表情を浮かべながら物体を睨んでいる。
対する物体は、判別ができなかった。人型にも見えるそれは、炎のような黒いモヤに包まれ、その周囲にも火の粉のような雪のような黒いものが舞い散らしていた。形状が丸いため、どこを見ているのか分からない。
『ーーーー!!』
悪魔が物体に向かって叫ぶ。と同時に物体をその手にかけようと腕を突き出した。しかし、その腕は物体に届くことなく、バラバラになって地に落ちる。仰け反る悪魔に、今度は物体の方が何かを悪魔に向ける。
丸い形状が歪み、腕のようなものが悪魔に伸びると思うと次の瞬間には悪魔は全身をバラバラにされて崩れ落ちた。腕のようなものは物体に引っ込み、黒い炎が勢いを増して燃え上がる。大空に高らかに笑うかのように黒い火の粉を舞い散らした。
ふと、黒い物体の中に赤く光る点を見た。2つ。点の近くに赤い三日月が浮かんでいる。
(こっちを見てる)
直感的にそう思った。思ったら背筋に冷たいものを感じる。次の標的は…!
そこまで考えた時、黒い物体は両手から棒を出した。直後、風のように速くこちらに近寄り、2本の棒をこちらに振り下ろして…!




