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魔人フィアラー旧作ー  作者: 猫人侍
プロローグ
14/29

村、脱出



夜。


村の牢屋だけあって、見張りも帰宅をするようだった。ランプのろうそくも燃えつき、辺りが暗くなった頃、囚人は動き出す。


カチャカチャと金属が擦れる音。しばらく鳴っていたがやがて、カチャンと外れる音となって止まった。


「やっと外れた…」


ふう、と一息。すぐに次の行動に移す。


集中。自分の身体の中を流れる気を感じ取る。

いつも感じるのは、自分の中の熱い気持ち。熱さはどんどん上がっていき、対象を燃やし尽くすイメージを浮かべる。


だが今回は違う。夜、暗い世界、光の中に生まれる影、黒…初めて感じる魔力。暗くて、寒くて、寂しい、虚しい…負の感情が、少女を包み込む。


不安。力を行使することで、自分が違うものになる。そんな感覚。だけどーーー


ーーーいける。使える。力が、闇が、あたしの声に応えてくれる!


なんとなく、おかえりと、帰還を祝われたような気がした。


少女は唱える。


「シャドウ・ダイブ」


じゃぼんと水しぶきを上げて水の中に潜る感覚…揺らめく水面…だが水面はハッキリと表の世界を映し出していた。


初めて入る影の中は水中のような空間だった。建物の構造と同じような空間。四角い牢屋。鉄格子のない四角の牢屋。壁の場所も奥行きがあるが、透明の壁があるようでその先に行くことはできない。鉄格子のある場所を泳ぐように潜り、階段を登る。


階段の上は事務室のようだった。表では机が並び、窓から月明かりが差し込んで来ている。


影の中は机は無いが月明かりが差し込む箇所に壁が出来ている。当然、壁には入れない。


(影のところしか通れないんだ…!)


泳ぐように入り口へ向かう。入り口からも月明かりが差し込むため、ここで浮上。プールから出るように水がまとわりつき、流れ落ちる。そんな感覚。実際には濡れてなどはいない。


(不思議…だけど今は先を急ごう…)


誰にも見つからないように警戒しつつ、フィアラは外へ出る。




満月に照らされた村はとても静かだった。そよ風の音がうるさく聞こえるほどに。


フィアラの見える範囲には人の姿は見えなかった。みんな家に帰っているのだろうか?もっともその方が今の彼女には都合が良いのだが。


「今のうちに…!」


なるべく素早くかつ音を立てないようにフィアラは走り出す。村の出口に近い建物の角を曲がったところで、


(…っ!やばっ!)


さっと建物の角を引き返す。人がいたからだ。


「あーあ。つまんねえの。もう討伐されたなんてさ」

「いいじゃないか。危うきには近づかない方がいい」

「俺たちだって、そこそこに強くなったんだ!強敵とやり合ったって勝てるはずだぜ!なあ?」

「それでも悪魔は危険よ。私は反対」

「ちぇ…弱気なんだからよぉ…」


角からそーっと覗き見る。冒険者だろうか。4人が話し合っていた。実際話していたのは3人だが。

ふと、1人が振り返った。顔を引っ込める。


「どうした?」

「…いえ。見られていた気がして…」

「本当に用心深いなぁ!村の中だぜ?もっと気ぃ抜いたって大丈夫だろうぜ!」

「まあまあ。とにかく宿に戻ろうか。明日次の街に出発するんだろう?早く戻って休むべきだ」

「さんせーい!行きましょ、レティ!」

「…ええ」


終わったのか4人は出口から逆の方へ去っていく。

フィアラは音を立てないように歩き、角から4人が去った方を覗く。鉢巻をした戦士の男、重装備を身につけた騎士の男、ローブを着た魔法使いの女、動きやすそうな装束に身を包んだ長髪の少女。4人が並んで村の奥に歩いていくのを見て、フィアラは村の出口に向かった。

その姿をレティと呼ばれた長髪の少女は振り返って見ていた。





闇魔法の行使、村脱出、冒険者との邂逅

意味深な感じになったかな?

(なってない)

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