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魔人フィアラー旧作ー  作者: 猫人侍
プロローグ
13/29

決意



「…へ?」


思わず変な声を出して口を覆う。今、ロウはなんと言ったか。処刑?言われたことを頭で繰り返す。


つい昨日までは平和に生きてきた。世界を旅することを夢見て強くなろうと努力してきたつもりだった。なぜそうなるのか。


「おかしいじゃん!なんで処刑なの!?」


ロウの顔につめ寄ろうとして鉄格子に頭をぶつける。痛い。手を動かしたいけど拘束されて動かない。苛立つ。


「この村は勇者生誕の村だ。属性的にも光属性となる。それと相反する闇属性に対する嫌悪感も強いんだ。しかも、勇者信仰の宗教までも存在している。そんな村の近場で悪魔や闇の魔力が出現したら村人からは恐怖感が湧き、排他的にもなるのは自明だろう。加えて俺がその場所に赴き、連れて帰ってきたものからかなり大きな闇の魔力が感じられたら…流石の俺にもその辺の意見は覆せなかった。本当にすまん」


また頭を下げられる。


「別に謝られても…お兄ちゃんは悪くないでしょ。悪いのは…」


あたし、と言いかけて止まってしまう。自分は特に悪いことはしていないのに…と俯いてしまう。


「理不尽だよ…こんなの…」


「俺もそう思う。理不尽としか言えないさ。だからこそ、こう言わせて貰う…」


その言葉にフィアラは顔を上げる。ロウは真剣な眼差しで見つめ返していた。


「フィー、旅に出ろ。冒険者になって、世界を見てこい」


ドクンと胸が高鳴る。それは願ってやまないことだ。世界を旅して回ること。色々な人と出会って、色々な風景を見て、世界中をこの目で見ることがフィアラの夢なのだから。


「…でも…あたし、大丈夫かな?1人でなんて、何もしたことないのに…」


しかし夢だと言っても準備したわけでもなく、ただ夢を見ていただけでもあった。いきなり出ろと言われても不安だし、迷う。


「お兄ちゃん達は?一緒に行きたいよ…」


「俺たちはちょっと難しいな。一応、身分がある。そこをなんとかしないと旅には出られない。めんどっちいがな」


取り出されたのはギルドのカード。カードを見つめながら顔をしかめる。不安でたまらないフィアラは首を振って涙ぐむ。


「やっぱり不安だよ…できない…」


「フィー、出なきゃお前はここで処刑されるんだぞ。夢を叶えることもなく、ここで死を待つか?」


フィアラは首をぶんぶんと振る。それは嫌だ。何もしていないのに。


「大丈夫。意外となんとかなるもんだ。俺だって、最初は何もできなかったんだぞ?でもここまで生きて来られた。フィー、お前にも出来るはずだ」


「本当?あたしにも…出来るかな?」


「ああ!絶対出来る!」


ロウに言われ、希望を見出す。自分にも出来ると信じて頷く。


「うん!あたし、やってみる!」


「よし!ならばここを脱出しないとな!」


脱出と言われ、また不安になる。脱出については指摘されたばかりで何も考えてなかった。


「…何も考えてないって顔してるぞ…でも大丈夫だ。今のお前には、闇属性の魔力が使えるんだから。よく考えて上手く使えば簡単だろうさ」


そこまで言ってロウはしゃがみ、すぐに立ち上がる。


「旅に出る前に渡すものがあるから…そうだな…丘の上の岩のとこまで来てくれ。今夜、待ってるからな」


そういうと踵を返し、牢屋から去っていった。


闇属性の魔力と言われて、実はすぐにピンと来ていた。ロウがしゃがんだところを見る。鍵が落ちていた。足で取り、しゃがんで取り上げる。


「大変なことになったけど、やっぱり不安だよ…とりあえず、寝よう…」


1つ欠伸をして横になる。そのまま目を閉じた。



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