対話
「何言ってるの?お兄ちゃん…お兄ちゃんの知ってるあたしって…よくわかんないよ?あたしのこと…忘れちゃったの?」
ロウの顔を見つめる。無表情だがどこかフィアラを警戒しているようにも見える。フィアラを見定めようとしているのか視線は外さずじっと見つめている。
どうにか手を使わず立ち上がり、何も答えないロウに近づく。
「答えてよ!」
涙を流して返答を求める。その姿を見てかロウは一瞬眼を見開き、指を鳴らす。
パキィン!
音が響き渡る。その瞬間何か圧力のようなものが膨張し、2人を包み込む。
「ソフィアの魔法『ウィンディドーム』に防音魔法を組み合わせた。これで外には俺たちの会話は漏れないだろう…さてフィー、話をしようか」
フィーと呼ばれたことで安心する。自分は何も変わってないってわかってくれたんだ。一息つく。
「まずは…フィー、ごめんな。泣かせるようなこと言って」
そう言ってロウは頭を下げる。急に謝られたフィアラは慌てて手を振る。
「う、ううん!あたしも驚いちゃって変になってたんだよきっと」
答えてなんだか恥ずかしくなって眼をそらすフィアラ。眼をこすり、ロウに向き直る。
「なんであたし、こんなところに入れられてるの?」
「率直に言おう。フィー、お前には闇属性の魔力が備わってるからだ」
闇属性の魔力…!口をキュッと結ぶ。戦った悪魔に言われたことを思い出す。闇属性があると言われたこと。封印媒体にされてること。
「戦った悪魔に言われたんだ。闇属性があるって。逃げようとしたけど逃げられなくって…」
「悪魔…か。逃げろって言ってあったけど、やはり逃げられなかったんだな。わざわざ戦おうとしてないなら良かった。教えておいた甲斐がある…おい、なぜ眼を逸らす?」
「ナ、ナンデモナイデスヨー?」
弱そうと思ってたことは墓まで持っていこう…
「…まあいい。本題は次だ。悪魔に封印を解かれたな?」
頷く。
「封印媒体にされてるって言われた…本当?」
「媒体とは…まぁなんだ。フィーに封印を施した理由についてだが、俺たちがフィーを拾った時、フィーの中で闇の力が暴走しかけてたんだ。闇の魔力の取り扱いについてはよくわかってなかったからな。当時は封印するしかなかった。お前の身体に、な」
実は、フィアラは捨てられていたのだとか。物心ついた時にはロウ達と一緒にいたため兄妹のように思っていたが、ある日気になって聞いたことがあった。
ーーーお父さん、お母さんっていないの?
そう聞いた時のロウの顔は忘れられない。本当に悲しそうで、どこか悔しそうで…その時に本当の兄妹ではないことを告げられた。関係についてはどうしようもないし、受け入れることが簡単だったため、3人の関係は続いていた。
今回はどうなるのか…ロウを見つめる。
「フィーに闇属性の素質があるのはお前を見つけた時から分かっていた。だけど、知っての通り、闇の魔力は魔物に多い魔力。訳も分からないうちから魔物扱いされると、人間扱いされないのは辛いだろうと思った。だから封印を施した。本当は封印のことも話せば良かったと思っている。しかし早いうちから封印のことを教えると解けてしまうのではと思って、伝えられなかった。魔法が上手く使えなかったのは、一番得意な属性が封印されてたからだろう。フィーには本当に辛い思いをさせたと思う」
ロウは膝をつき、頭を下げて地面に付ける。
「本当に、すまなかった!!」
土下座。これを話すまでに相当悩んだのだろうか?涙こそなかったが、ロウの身体は震えていた。
「やめてよ!あたしのためだったんでしょ?なら仕方なかったんだよ。むしろお礼を言わなきゃ…だよね。…ありがとう、お兄ちゃん」
笑ってみせる。ロウは言われてフィアラの笑顔を見る。しかしばつが悪そうに目を逸らした。
「…フィー、申し訳ないついでにもう1つ言わなきゃいけないことがある」
ロウは意を決したようにフィアラの顔を見て告げる。
「お前はこのままだと処刑される。少なくとも、2日後には」
超絶長い…(汗)




