牢獄
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どれくらいの時が過ぎただろう?
どれくらいこうして眠っているのだろう?
どれくらい、この海を漂っているのだろう?
どれくらいーーー
眼を開ける。開けたつもりだったが。
閉じていた時と変わらぬ暗さ。真っ黒。
水に浮かんでいるようにゆらゆらと漂っていた。
いつからこうしていたんだろう?
いつからこのままなんだろう?
…わからない。
なんだかどうでもよくなってきて、もう一度眼を閉じる。閉じようとして、ある変化が起こる。
「………!!」
…声?何か叫んでいるような?
「…………ぃ……!!」
…今度は高い声。すると目の前がだんだん白んできていた。
手を伸ばす。届きそうな気がして精一杯伸ばす。
ーーーちんたらしてないで、とっとと行きなよー。
ドンと押されたような感覚。驚いて振り返る。
自分がいた。赤い瞳の無表情な自分が。自分を鋭く射竦めていた。
そのまま白いモヤに消えていく。
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眼を開ける。開けたつもりだったが。
見えたのは石の壁だった。うつ伏せになっていたらしい。壁と思ったものは地面だった。
「痛っ!」
目がゴロゴロする。埃が目に入ったらしい。手でこすろうとしてできないことに気がつく。手を上げようとするとじゃらじゃらと音がして両手が離れなかった。
「…何これ…?なんで、あたし…?」
とにかく、眼を閉じる。内側で目玉を回して涙で流し、違和感を無くす。その後辺りを見渡した。
薄暗い石の壁に囲まれ、半分くらいで鉄格子がかけられている。その奥には出口だろうか?階段が見え、上から明かりが差し込んできていた。
「ここ…牢屋?あたし、何もしてない…」
何もしていないはずだと、頭を振る。丘に小鬼退治に出かける。するとどこからともなく悪魔と名乗るやつが現れて…
「…それからどうしたっけ?」
もっと思い出そうとして、物音が近づいていることに気がつく。カツーンと階段を降りてきているようだ。なんとか手を使わず立ち上がり、鉄格子に近づく。そこに現れたのはーーー
「…!ロウ…お兄ちゃん…」
義兄だった。ロウは声に応えず、じっと見つめる。
「お兄ちゃん…あたしなんでここにいるんだろう?あたし…気づかないうちに何かしたのかな?教えてーー」
「それに答える前に、教えて欲しい。
『君は、フィアラ…俺の知っているフィーで合っているか?』
…さあ、答えてくれ」




