一方、その頃
「ロウ君!外に来て!空が…!」
ロウのパートナー、ソフィアが青ざめた顔で書斎に入ってくる。言われるがままに外へ出ると、ある地点を中心に黒雲が渦巻いていた。嵐の前兆のように強い風が吹いてくる。
「あの位置…丘の頂上だな…!」
「丘の頂上…!今、あの娘が…フィアラが行ってるの…!まさか…」
「落ち着け。魔力はあの時の嫌な感じじゃないだろう?魔力探知は君の方が上なんだから」
おどおどと落ち着かないソフィアを宥めつつ、ロウは分析する。
(とはいえ、嫌な魔力の多くは悪魔や魔族だ…この周辺に魔族の出現情報はなかったはずだが)
悪魔族特有の魔力というものがロウ達の言う嫌な感じである。その魔力を浴びると湿度の高い部屋に放り込まれたような気持ちの悪い感じを受けてしまう。そしてその魔力は闇の魔力であることが多い。
「ともかくソフィア、出かける準備。もし魔族が出たのならフィアラに危険が迫ってる。早く行ってやらなきゃな」
「もうできてる。すぐに行けるわ」
「俺がまだだよちくしょーめ。ちょっと待ってて」
両手を広げて行ける合図を出すソフィアに対し、ベロを出して見せてロウは一旦家に入る。冒険用バッグと装備、道具を確認。準備は万端であることを確認し、外へ。
「ソフィア。おまたせ…ソフィア?」
玄関先にいたソフィア。確かにそこにいたが、口を押さえながら座り込んでいた。目には涙を浮かべ、肩を震わせているようだ。
「どうした。ソフィ…っ!!」
丘の方を見る。空模様は変わってないようだが、辺りに漂う魔力がまるっきり変わっていた。
「ロウ…くん……!これ…まさか……まさか……!?」
「ああ…感じた…間違いない……あの時の魔力だ…!」
ソフィアが涙を流す。まだ拭えていないのだろう。それは、ロウも同じだった。およそ5年前のあの日。決死の覚悟を決め、挑んだ戦い。その結末。そして…
(代償…か…大きいものを失っているが…繰り返すしかないのか……だが…!)
深呼吸し、覚悟を決める。どうなるかは分からないが、行くしかない。座り込む大切なものに声をかける。
「頼む。俺と一緒に…来てくれ……!」
ソフィアは驚き、しかし涙を拭きながら頷く。
「もちろんよ…!一緒にいきましょう!!」
二人は並んで歩き出す。大切な人を守るため、そして彼女を救うためーーー!!




