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#3
ロシアから帰還した二人が見たものは、デトロイトにある酷く荒らされたミュールの自宅であった。
「ママだわ……」
「お帰りなさい、ミュー……よくもやってくれたわね。流石は私の娘」
ミュールの母にして魔女”ベアトリクス”。彼女は荒れた部屋の中で、椅子に座り、テーブルの上に置かれたボウルに盛られたキャベツの千切りを食していた。ミュールには見覚えのあるそのボウル、母を細切れにして入れていたボウルだった。ベアトリクスは復活していた。
「そちらの方はどちらかしら。お友達?」
「……あたらしいパパよ」
「知らないわね」
ベアトリクスが睨んだだけで生じた衝撃を、ウォーヘッドの腕に居るミュールが反対の魔法で相殺する。
その直後駆け出したウォーヘッドは立ち上がるベアトリクスに向けて拳を向ける。直撃し吹き飛んだベアトリクスは壁を突き破り野外へ、ウォーヘッドもまたタックルで壁を突き破るとベアトリクスを追って外へと出た。
そこはかつて栄えたデトロイトではない、ギャングの巣窟と化し、暴力と麻薬が蔓延る退廃の街。通りへと飛び出した三人を取り囲むのは、ベアトリクスが配下とするギャングの一団であり、その銃口はミュールとウォーヘッドに向けられていた。
「……ぜんぶ殺して、パパ!!」
ウォーヘッドが雄叫びを上げる。戦争の火蓋が落とされた。




