表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/11

#2

 ――ロシア某地、某軍事施設。


「膨大な魔力反応を感知。ゲートが繋がります!」


「阻止しろ。ジャミングを」


「出来ません。力が強すぎる」


 司令室では多くの者が煩くなり続けるアラートにせっつかれ忙しなく動き回り、司令官が指示を飛ばしていた。魔力を行使する存在が世界に広く認知された昨今、それらが魔力を使えば科学的に感知する事すら可能となっていた。だが此度のそれは別格と言える。


 国家最高機密の元、最新鋭の設備が揃い、強力な魔力ジャミングすら用いながら、それは止められなかった。


 司令官の男はライブ映像が映るモニターに視線を移す。そこには白衣を纏った調査班が何名も居り、彼らが調査しているものは岩石の様なものであった。


「何故魔法使いが此処に……狙いは隕石(ウォーヘッド)なのか? 何だというのだ。兵を回せ! 全ユニットを出すんだ。ネズミ一匹入れるんじゃない」


「司令官……ゲートの出現位置、特定。ゲートは、機密区域に開きます」


「馬鹿な! あれは、子供だぞ!?」


 モニターでは今まさに空間が引き裂かれ、そこからデトロイトよりやって来た白髪をした黒衣のワンピースのミュールが姿を現した。


 銃を取り出した調査班の面々はミュールに向けて大慌てで発砲するが弾丸は彼女をすり抜けるばかり。位相を変える魔法で彼女はそこに存在しながら存在しないものとなっているのだ。


 ミュールは変身の魔法を使い、次々に調査班たちを白いウサギに変えて行く。そして残された一人をオオカミに変えると、そのオオカミは本能に従いウサギたちを次々に食い殺した。


 その後、オオカミを風船で出来たプードルに変えると。彼女は隕石へと手を伸ばし、触れた。


「今すぐ撃ち殺せ!」


 司令官の怒号。そして機密区域と呼ばれたミュールが今居る場所に兵士たちが集まると、手にしたアバカンたちが一斉に火を噴いた。


「――今からあなたがわたしのパパよ」


 全ての弾丸が弾かれると、兵士たちは皆我が目を疑った。ミュールを庇うようにそこには二メートルを優に超すような大男が現れ、銀色の体で凶弾から彼女を守ったのだ。


 動揺する兵たちは次々と銃を連射するが、その大男にはまるで歯が立たない。歩み寄ったその大男により一人、また一人と殴り潰され、拭き千切られて行く兵士。


 惨状の中でミュールはけらけらと笑い声を上げて、全員を血祭りにあげた銀色の体をした大男へと嬉々として駆け寄る。


「すごいわ、すごい強い! わたしのパパだもの、とうぜんよね! パパ、お名前をおしえてよ」


「此処の者は私を隕石(WAR・HEAD)と呼んでいる。好きに呼んでくれ」


「ウォーヘッド? ぶすいな名前ね。けれどパパのお名前としてならとってもすてきだわ。ねえ、わたし眠くなってしまったの、帰りましょう?」


 ミュールの我が儘に何も言わず、彼女をその丸太の如き腕に座らせると持ち上げるウォーヘッド。再び開いた門を彼が潜ろうとした時、一発の銃弾から彼は彼女を守った。


「逃がしはせんぞ! それは我々の物だ……! 魔女如きには過ぎた物だと……止まれ。止まるんだ!!」


 二人の視線が移り、そこに居たのは司令室から飛び出してきた司令官の男であった。


 彼は両手に構えた拳銃を二人に突き付け、無言でのしりのしりと近付いてくるウォーヘッドへと乱射する。しかし彼が庇うミュールには言わずもがな、ウォーヘッドにも弾丸は命中しても尽く弾かれるばかりで効果は無い。


 その内、ウォーヘッドの瞳の無い白銀の目に当たった弾丸が跳ね返り司令官の男の肩を打ち抜いた。後退る男にウォーヘッドは更に歩み寄ると、その大きな手でむんずと男の頭を鷲掴みにする。


「私は今や彼女の物だ」


「よせ……」


 男の懇願も虚しく、彼の頭は無残にひしゃげた。遺体と化した司令官の男を放り捨てるとウォーヘッドうとうとするミュールを連れて門を潜り。二人はデトロイトへと帰還した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ