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fake moon ~ウソツキ。

作者: 嘘月

こんばんは、今回も短編です。

ちなみに本当は昨日に投稿するはずだったものです。理由は後書きで。

  薄雲超えて月明かり、妙に肌寒い夜の小道、もう季節は春のはずなのに、今日の海風はツンと頬を刺す。

  私の一歩前を歩く彼は何も喋らない。ただ、このポジションのまま歩き続けて、もう10分ぐらい。

  砂浜と言っても端から端は長い、さらに夜と砂に足を取られていることが1番歩きにくい原因となっている。

 ひと月に二度満月が訪れるブルームーンの翌日、まるで昨日の満月が嘘であったかのように濁っていた。

  そんな今日は4月1日、世界ではエイプリルフールと呼ばれている。

「今日はいきなりどうしたの?」

  私は訪ねた、急に散歩しようなんてLINEが来たから正直驚いた。

「あぁ、わるいな、急に呼び出して。」

  野沢将人(のざわまさと)、私の幼馴染み。物心がついた頃にはいつも彼と一緒にいた。どこかに遊びに行く時も、高校も。きっと人生の半分はコイツとの思い出で溢れかえっているのだろう。

  高身長で、ガッチリとした体格で男らしい、その癖性格がひねくれている、嘘を付くのがこの上なく上手いのだ。

  そんな幼馴染みから呼び出されて、理由を聞くなという方が無理。

「それで、なに?私に用があったんでしょ?」

「まぁね、それじゃあそろそろ本題に入るか。」

  歩き疲れたし、と彼はピタッと足を止め、振り返る。

  濁った月に照らされた彼は微笑んでいた。

「俺さ、来週引っ越す。」

  …え?

  あまりにも突拍子がない、それに加えて今日の日付の上乗せもあり、すぐに嘘を察した。

「本当に嘘が上手いね、将…」

「ホンキなんだ、マジで引っ越す。」

  私が言い終わる前に、彼は語尾を強めた。その目はわたしを真っ直ぐ見据えていて。

  そんなの信じないよ、と、目をそらした。それを認めてしまったら、と考えるだけで怖かったんだ、きっと。

「やめてよ、将人そんなに真っ直ぐに目を合わせたことなんてなかったじゃん。」

「あぁ、もしかしたら本当にこれが最後かもしれないから、ちゃんと目に焼き付けておこうかと思ってな。」

  今まで見たことのない真剣な眼差しと、行動に、もしかしたら?と言葉に信ぴょう性が増す。それは次第に大きくなり、気がついたら足元を眺めていた。

  …らしくない、私らしくないよ、こんなの。今まで隣を見ればコイツがいたのに、それなのになんで…

  ズザーと一際大きい波が押し寄せて、私の足元を濡らす。

  冷たい…

  果たして、ここまで海が冷たく感じることなんてあっただろうか。

  風が吹いた、ジメッと潮の香りが乗った、海風が。

  同時に、将人の右ポケットからピロリんと音がなった。

  そろそろか。彼は小さくつぶやく。

「そろそろかって、なにが?」ふっ、と顔を上げる。

「ん?まぁ、こっちの話だよ。」

  そしてしばらくして、沈黙が流れた。今は何時頃なんだろうか、正直私の体内時計は狂っていて信用出来ない。

  なぁ、楓、と先に将人が沈黙を切る。

  私と目が合う、彼の目は本気だ。

「俺さ、引っ越す前にどうしても言わなくちゃいけない事がある。聞いてくれるか?」

「…なによ改まって。」

  そして、一呼吸入れると、将人は力強く私と目を合わせる。

「好きだ。」

  1秒、2秒ほど時間が止まった、そしてぐるっと思考が回り、心臓が跳ねるまで0.5秒。

  次第に顔が熱くなるのを感じた。

  それでもなんとか平然(クール)を装おうと顔を横に振る。

「あー、そっか、そう言えば今日はエイプリルフールだもんね。」

  それでそんな嘘を。ハハハ、と笑う。

  すると、それに不機嫌を覚えたように、顔をしかめ、スマホを目の前に差し出す。

「ちゃんと見ろよ。」

  そう言われて、少し眩しいのを我慢して画面を見る。そして、すぐに気がついた。

  思わず、え…と再び思考が止まる。

「知ってるか?4月2日は真実(本当のこと)をいう日らしいぜ。」

得意気に彼は言う。その顔は少し照れくさそうだ。

  あ、察した、全てを察した。私の中でなにかが崩れる音が聞こえた。

  時間は午前12時1分、そうか、つまりそういう事なんだ。

  私は空を見上げた、さっきまでの薄雲がいつの間にか消えて、私たちの影をしっかりと映し出す。

  プッ、私は、このやり取りを思い出し吹き出してしまった。

  すると、なんだよ、と言わんばかりに将人は私を睨む。

「そ、それで返事は…」

  と、言った後、別に言いたくなければ、と慌てて顔を背けたあたり相当な意気地無しだ。でも、それが私の知っている幼馴染み。

  聞きたい?怪しく笑う、今鏡で見たらどんな卑しい表情をしてるのか。

  彼はコクンと頷き、目を合わせる。月に照らされた顔は少しだけで赤い。

「それじゃあ、1回しか言わないから、ちゃんと聞くのよ。」

  スゥーと息を吸い、覚悟を決めて、

「私はね、アンタのことが…」


  風が吹いた、背中まで届く長い髪を乱して海風がさす。もしかしたら風のせいで私の勇気(告白)は届かなかったかもしれない。でも、それくらいがいいんだ、これが私を騙した彼への報いなんだから。

  私は嘘が嫌いだ、それがなんであれ、口に虚っという漢字の組み合わせを見ただけで吐き気がする。

  でも、こんなウソのように綺麗なツキの日ぐらい、騙されてもいいかな…なんて思った。

こんばんは、嘘月です!

なんかある程度、短編の方のジャンルが固まってますね、でも恋愛物、書きやすいんです!

さて、海の街、幼馴染み、月夜の浜辺…憧れますね。そして楓は、最後なんて言ったんでしょうかね?結末は読者さんの考えで任せます。(ちなみに当初はギャグ要素を詰め込むため、壮大にふって右フックをするつもりでした)

そして、最後に、本当は昨日の投稿するはずの物語りですが、実は昨夜、格闘技で左足靭帯を痛めてしまい、それどころではありませんでした。皆さんも足首気をつけてください、靭帯をやると長いですよ…

はい、ということで、今回はここら辺で失礼させてもらいます。

ではまた次回に。

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