5話 入学式 前編
遅れてすみません。
アイディアが浮かばない!
才能が欲しい!
この国は、高校から2種類のコースが存在している。
一つ目は、戦闘専門コース。
名前の通り、戦闘系の異能を持っている人の為のコースである。
クラスは、Aクラス、Bクラス、Cクラス、Dクラス、Eクラスの5種類があり、異能の強い人からA、B、C、D、Eクラスと入れられていく。
ちなみに、異能の強さは異能検査をした検査官が決める。
その為、賄賂などの不正も多々ある。
二つ目は、学業専門コース。
戦闘系の異能でも学業に専念したい人や、非戦闘系の異能を持っている人が集まるコースである。
クラスは、1クラス30人という事以外は、特に決まっていない。
「何だよ...これ...」
俺はとある手紙を見ていた。
時は数分前に遡る。
俺は、6時にセットしておいたアラームを止めて、玄関へ新聞を取りに行った。
ポストには新聞の他にも、いくつか中に入っていた。
その中の、ひとつがこの手紙だったのである。
そしてその内容というのが、
ーサクマ・リョウタ様ー
この度あなたには、チェーンギア高等学校に通っていただく事になりました。
これまで、学業専門コースに通う無能の方しかいらっしゃらなかったので、今回実験として入ってもらいます。
因みに入学式は、今日です。
ーチェーンギア高等学校校長 ヤクロ・ミト ー
「はぁ、俺は実験動物かよ。っていうか入学式今日⁉︎」
手紙の内容に驚いていると、携帯が鳴った。
(コハルからか...)
「はい、もしもし。コハル?」
『あ、リョウタ?おっは〜♪』
「あぁ、おはよう」
『学校、何処だった?やっぱり、アレサ高等学校?』
「それがな、チェーンギア高等学校なんだよ」
呆れながら言う。
すると、コハルは案の定とても驚いたようで
『えっ?...それ本当なの?』
「あぁ、本当だ。嘘を言うと思うか?」
『...思う。けど、それが本当だって事は分かるよ。でもそれなら、急いだ方がいいよ。入学式まであと30分だから』
「は?」
『それじゃあ私も急いでいるから。じゃあね〜。また後で』
その言葉と共に電話が切れた。
(あと30分⁈まじかよ!こっちは手紙の内容に驚いて、朝食も食べてないってのに)
焦っていると、家のチャイムが鳴った。
(誰だよ!こんな時に)
「はい、どちら様ですか?」
と、ドアを開けると
「サクマさんのお宅ですね?お届け物です」
大きな箱を持った宅配業者が居た。
(何だろう?)
俺は、通信販売や何やらで何かを頼んだ覚えがないので不思議に思ったが、送り主の所に[ヤクロ・ミト]と書かれていたので、納得がいった。
「ありがとうございましたー」
そう言って、宅配業者が帰っていくと(因みに、荷物は着払いだった)すぐさま箱を開けた。
すると、手紙と学校の制服やら教科書やらが入っていた。
手紙にはこう書かれていた。
ーサクマ・リョウタ君ー
あなたの制服や教科書などは、入学式開始の約30分前に着くようにしました。
人間は極限状態だと、もの凄い力を発揮するって言うしね☆
急げ若者よ。
ーかわいいかわいいヤクロ・ミトちゃんより♡ー
(超うぜぇ。って、もう時間がやばい)
時計を見ると、入学式まであと20分しかなかった。
俺は朝食を食べる事を諦めて、急いで着替えて家を出た。
一応、学校までの道は知っていたので、あと5分という所で校門に着く事が出来た。しかし、
「はぁ...はぁ...何とか着いた。しかし、これからどうやって会場まで行くんだ?」
そう、学校までの道は分かっていても、学校の内部の構造までは知らないのだ。
インターネットで調べてもテロ対策とかなんとか書いてあって、学校の詳細情報などは全く分からない。
一か八か走って探してみるかと考えていると、近くに居た門番の人に、
「君、入学式の会場は分かるかい?」と聞かれた。
「分かりません」と、変な見栄は張らず正直に答えた。
「おかしいな?普通なら入学決定の手紙に書いてあると思うんだが。それじゃあ私が教えてあげよう」
「ありがとうございます」
そして、俺は門番の人(因みに名前はヤミクラ・アクオと言って、歳は52歳で異能は影に潜る能力らしい)に入学式の会場、講堂に行く道を教えてもらい、何とか着く事が出来た。
(それにしても、手紙に書いてあるだと?まぁ、とりあえずは入学式だ)
俺は直ぐに講堂に入り、空いている席に座った。
ちょうど入学式が始まる所だった。
(あぶねー)
そう思ったその時、壇上の一点にスポットライトが当たった。
そこには、幼い男の子が立って居た。
「えー、ぼくはこのがっこうのこうちょうのヤクロ・ミトです。みなさま、どうぞよろしく」
「.....」会場が静まりかえった。
その静寂を1人の生徒が破った。
「ヤクロ・ミト?あの、変装能力の⁈」
俺は驚いていた。
その生徒が、手紙に書いてある筈のヤクロ・ミトの名前を聞いて驚いているからだ。
「ほぉ〜私を知っているとは、なかなかマニアックな人だねぇ」
そう言いながら、ヤクロ・ミト校長の体は、幼い男の子から同い年くらいの女の子の姿に変化した。
「たぶんこれが私の本当の姿だよ。まぁ、兎に角、これからよろしく。次は、新入生代表の挨拶だ」
そう言うと、ヤクロ・ミト校長はどこかへ去っていった。
そんな中俺は、さっきの疑問について考えていた。
(やはり、俺が無能だから特別に校長が手紙を書いたのか?)
そこまで考えた所で、俺の思考は止まった。
何故ならその後に壇上に立ったのが、
「どうも皆さん。新入生代表のナミキ・コハルです」
コハルだったからだ。
できるだけ早く投稿しようと思いますが、テスト期間なのでまた結構遅れます。