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しおりと望み叶える魔法使い  作者: 須藤 柘榴
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その4・冬の女王様と春の女王様

やはり構想していたことは全部入れたかったので、蛇足かもしれませんが改稿しました。

4000字くらい増えたので、1話はさんだような形になりました。

今はこれが精いっぱい、です……。

 「冬の女王様が塔から出てこない理由がわかったとは、本当ですか!?」

報せを聞いた副大臣のふくろうは、とても興奮した様子で迎えてくれました。

「ええ、恐らくですが、ほぼ間違いないと思います。」

そして魔法使いは副大臣のふくろうに、しおりとの話し合いで出た答えを話していきました。

しおりはそれを聞きながら、話し合いの内容を思い出していました。


『冬の女王様は話がわかるって言ってた子がいたの。それって、冬の女王様とお話したって事だよね?』

『そんな子がいたのかい?それで?』

『その時に、冬の女王様にお願いしたんじゃないかな?僕たちは冬が好きだから、今年は冬を長くしてください、って。』


「ほーう、なるほど、子供たちのために……」

「ええ、冬を望む子供の願いを叶えるために、冬を続けているんでしょう。きっと、自分の季節が望まれた事が嬉しかったんでしょうね。」

「しかし、どうやって冬の女王様を説得しましょうか。」


『あ、それはね、お手紙を出したらいいんじゃないかな。』

『手紙には何と書くの?お嬢ちゃんも冬が好きなんじゃないのかな?』

『わたしも冬は好きだよ。でも、ずっと冬だったらできないこともあるから、春、夏、秋、冬ってかわるがわるくるのがいいと思うんだ。そういう事を書いて、お願いしてみようと思うの。』


「なるほど、それでこの手紙を、ですか。中を見てみてもいいですか?」

「ええ、どうぞ。」

副大臣のふくろうは渡された手紙を読んで、目を細めました。

しおりが一生懸命考えて書いたその手紙にはこんな事が書かれています。


『わたしは冬が大好きです。雪がいっぱい積もってると、雪合戦したり、雪だるまつくったり、すべり台つくって遊んだりできるからです。それだけじゃなくって、秋から冬にかわるとき、霜柱や水たまりに薄く張った氷を踏むのも好きだし、冬から春にかわるとき、ふきのとうとかを見つけるのも好きです。それに、寒い外から暖かいお家に入ってみかんを食べるのも好きです。春になって、夏、秋、そして次の冬と廻ってくるのを楽しみにしています。ずっと冬だと、季節の変わり目の楽しい事ができないし、みかんもなくなってしまいます。なのでお願いです。一度塔を出て、また次の冬が廻ってくるようにしてください。そうして女王様に会えることを楽しみにしています。』


「ほうほう、これはお嬢さんが書いたんですね?あなたの気持ちが伝わってくる手紙ですね。これならきっと冬の女王様にも気持ちが伝わるでしょう。しかし、どうやってその子は女王様にお願いしたんでしょうかね?」


『それはわたしもわかんない。もしかしたら、あの子は王子様だから、とか。なんちゃって。』

『確かに王子様なら女王様と話をする機会もあったかもしれないけど……どうしてそう思ったんだい?』

『いや、冗談だよ?』

『それにしても、王子様というのは急には出てこないんじゃないかな?そんな冗談が思い浮かんだ理由のようなものはないのかい?』

『それはあの子の髪の毛が春の女王様と同じピンクだったから……』


「確かに、桜色の髪の毛をした人間は、春の女王様と王子様しかいません。まさか広場で他の子供と遊んでいるとは思いませんでしたが……」

「そうですね。私もまさか、とは思いましたよ。」

「ともあれ、これで何とかなりそうです。私はさっそくこの手紙を届けるよう手配しましょう。どうぞお2人はこのままおくつろぎになってください。」

そして副大臣のふくろうは手紙を持って部屋を出て行きました。


その手紙は冬の女王様の手に渡り、塔から出てきた冬の女王様はしおりに会いに来てくれました。

「あなたがあの手紙を書いてくれたのね。」

冬の女王様は、聞いていたとおりの銀色の長い髪で、思っていたとおり、いえ、思っていた以上にきれいな人でした。

「はい、そうです。」

しおりは緊張しながら答えました。

「冬が好きだと言ってくれてとても嬉しかったわ。これからは気持ちよく季節を廻らせることができそうよ。ありがとう。」

冬の女王様がそう言ってほほえんでくれたのが嬉しくて、しおりも笑顔になりました。

でも、冬の女王様はすぐに少し困ったような顔になって言いました。

「それにしても、住民の皆さんがこれほど困っているとは思いませんでした。春の女王様からお声がかからないので、まだ大丈夫なのかと思っていたのですが。」

その言葉に反応したのは副大臣のふくろうでした。

「ほう?確か、春の女王様は一度冬の女王様のもとにお話に伺っていたと思いましたが。」

「ええ。ですのでその時、春の女王様にお願いしたのです。少しだけ冬を長く続けたいので、住民の皆さんが困り始める頃まで待って、もう一度声をかけていただけませんか?と。春の女王様も了承してくださったので、てっきり……」

「それはおかしいですね……。春の女王様も、住民の困り具合はよくご存じのはずです。それに、冬の女王様とそのようなお話をしたとは聞いていないのです。」

副大臣のふくろうが難しい顔をして考え込みます。

そのとき、部屋におもちゃの兵隊がやってきました。

「副大臣どの、大変です!春の女王様に塔に入っていただこうとお呼びしに行ったところ、お姿が見当たりません!」

「何ですって!?よく探したのですか?」

「城の中で春の女王様が足を運ばれそうな場所は一通り。これから探す範囲を広げるところですが、人数が少ないため時間がかかると思われます。」

「むっ、それもそうですね……。そうだ!春の王子様なら母親である春の女王様がどこにいるかご存じかもしれない!すいませんが、春の王子様が遊んでいたという広場まで案内してくれませんか?」

副大臣のふくろうの必死な様子に、魔法使いもすぐにうなずきました。

「もちろんです、急ぎましょう。」

1/17 23:50 冬の女王様登場後、すぐエピローグでしたが、春の女王様が出てくる内容に変更(追加)しました。


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