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しおり  作者: Tokiha.
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出会い

私、黒田(くろだ) 笑美(えみ)は親が愛情を込めて笑顔が絶えない美しい女の子になって欲しい。という願いから私の名前を笑美と付けた


そして私は今年で16歳

笑顔を隠してから6年…


高校生になって2年目の春

私の通っている高校は家から歩いて15分ほどで

近所だから…そんな理由で入学した。


誰とも話さない。話したくない。

それから約1年間生徒達と喋らず高校生活をおくっていた。

中学生だった3年間もそうやって過ごしていたのだ。

正直先生とも話したくはないんだけど……

それは無理な話で…

図書委員会に無理矢理新学年の担任の先生…池本 圭吾先生に入れられてしまい…

「お前、生徒達と会話しないだろう?少しでも話しなさい。」

そう笑顔で私に言って図書委員会に…

その仕事内容について職員室に呼ばれていた…

「……失礼……しま…す…」


早く帰りたい…

なんて願いは呆気なく砕け落ちた…


放課後まさかの図書委員会の仕事をさせられるはめになったのだ

理由は今日の当番の男の子がばっくれた

今日だけじゃなくいつも通りの事なんだけれど…

その当番の男の子は名前と顔だけ知っている

なぜなら同じクラスの柳田 陸 という不良…みたいな奴だからだ

その人は始業式以来見ていない…

とりあえず図書室向かわなければ…

ため息を一息ついて職員室をそっと出た


「ねぇ…あの子なに?暗くない?下向いて眼鏡かけて…」


あぁ…まただ…

私の事を見て私の事を言っている。


「あの子2年C組の子でしょ?名前なんだっけー…暗すぎて分かんないや!」


そうやって私を見て笑って…

くだらない。

人は誰かの悪口を言わないと生きていけないのか。

なんて醜い生き物なんだろう…


私は小学校入った頃は普通のどこにでもいる女の子だった。

けれどある日友達がイジメられていた所を見つけてしまった…

助けようと必死に間に入って止めようとした

友達だから…

それから私が目障りになった

いじめっ子達は私を標的にした。

助けて…そう声を出したのに私の友達はいじめっ子達の言いなりになって

いじめっ子の皆と私をイジメてきた、、、、


それから少しした頃にお父さんの転勤で

今現在住んでいる所へ引越しになった

それから私は友達なんて要らない。笑うことなんて必要ない。

そうして現在16歳の黒田笑美が完成したのだ


…なんて

なぜこんな事を思い出したのか…

気がつけば図書室の扉の前に立っていた

池本先生から預かった図書室の鍵を使い扉を開ける

仕事なんてないのに…


この学校で図書室を使う人は2、3人…

私的には話さなくていいから別にどうでもいいんだけど

むしろラッキー…


別に仕事というものは人が来ないからする事も無い。

なので図書委員として図書室に来る時にいつも読んでいる小説を

カウンター内にある

キャスター付きの椅子に座りその小説を読む

密かな楽しみ…安らげる時間


"ガラガラ"

そんな時間を遮るように乱暴に開けられた扉

その扉の方向を私は睨みつけるように見た

「お前、なにガン飛ばしてんの?」冷静ででも少し怒りの込められた声が飛んできた。

その人は柳田 陸…だった

柳田はまぁいいやと面倒くさそうに頭を掻きながら扉を閉めて中に入ってくる


え…なんで入ってくるの…


私は何事も無かったかの様に無言で再び小説を読み進める

「なぁ、お前って俺と同じクラスの黒田 笑美だよな?」

柳田はカウンターに肘をついて前のめりに顔を近づけて私に質問をしてきた

名前…初めて先生以外の人に呼ばれた…しかもフルネームで…


それでも私は無視をし続ける


「俺のこと覚えてない?」


何気なくサラッと言った今の言葉…

どういう事だろう…

私はゆっくり顔を上げる


「だから、俺のこと覚えてない?」

私と目を合わせた途端クスッと彼は笑った


「俺、髪金髪に染めてピアス開けて尚且名字変わってんだよ」


この人何を言ってるのだろう…

でも気になる…

私は何故か目を逸らせなかった…


そして彼は笑顔で言った


「俺、前の名前 鮫島 陸…覚えてない?」


…………………………………。え


ぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!?

私は彼を見つめたまま

あわあわしていた…


「お、思い出したか?笑美ちゃん?」

彼は笑顔で私を見つめていた


そう柳田 陸こと

鮫島 陸は私がイジメられる前まで仲良くしていた男の子

近所に住んでいたからよく遊んでいた…

迷惑かけてはいけないと…私から突き放した…


「元気だったか?俺、今年この高校に転校してさ笑美ちゃん雰囲気変わってんだもん。一緒のクラスなのに全然分からなかった。」


彼は嬉しそうに話しかけてくれる

お別れしたのが小学校5年生の頃…

さよならもバイバイも…またね…も言わず

私は誰にも言わずその学校から去った


「笑美ちゃん?…なんで喋らないの?」

彼は真面目な顔で私に質問してくる


「……なさい…」

私は小さな声で罪悪感でいっぱいの気持ちで泣きそうになりながら伝えた


「……ごめんなさい…」

そして私は鞄を持ち…陸くんから逃げるように走って出ていった


「ちょっと!!!」


そう陸くんが叫んでいたのに…



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