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第三十八話 『テスタメント』 OP

 


 おうまがときの山凌市上空に突如として現れた光の塊は、今にも空竜王を包み込もうとしていた。

「夕季、逃げろ!」

 叫ぶ桔平の隣には、心配そうに成り行きを見守る忍の姿があった。

『逃げろ! 夕季! 逃げろ!』

 桔平の声が、脳天に突き刺さる鉄杭のごとく鳴り響く。

 それでも夕季は逃げられなかった。

 逃げようとすれば逃げられたはずなのに、身体が動かなかったのである。

 プログラム名を持たず、アンノウンプログラムとだけ告げられたそれに対し、わずかな油断があったことも確かだった。

 だがそれすらも何ら意味さえ認めないほどに、異なる感情に支配されていたのだ。

 理由はわからないが、それを受け入れなければならないような気がしていた。

 あらかじめ定められた取り決めであるかのように。

 身動き一つ取ることなく、白銀の翼が光の闇の中へと次第に閉ざされていく。

 自分の名を呼ぶ忍の絶叫に、夕季が振り返りながら。

「……お姉ちゃん……」

 時は、午後六時六分六秒を刻んでいた。





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