打ち上げ
塾から帰宅してそろそろ寝ようかな、なんて
思っていたときだった。
ケータイが鳴る。メールだった。
こんな時間に誰だよ・・・もう。
ちょっと前に買ってもらったばかりのスマホを手に取る。
『新着メール1通』
と表示されたところをタッチ。
フォルダを開くと―――。
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@バトミントン女子打ち上げのお知らせ@
みんな部活お疲れっ!
最初で最後の勝利でした。
今まで支えてくれた人たちに感謝だね☆
ところで
お疲れ様でした会を開こうと思います。
日程↓↓↓
時:8月18日(土)
場所:名古屋の栄にあるバイキングチェーン店
時間:午後6時~
中学校の正門に5時に集合
スケジュールが合わない場合組み直すので
連絡ください(^O^)
それじゃあ、また!
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という内容だった。
私たちの代のキャプテン―――つまり元キャプテン麻紀からの連絡だ。
「はぁ・・・」
スマホをベッドに放り投げ、放り投げられたスマホと同じように
私もベッドに勢いよく仰向けに寝転んだ。
正直言って行きたくない。
きっとそう思ってるのは私だけじゃないと思う。
少なくとも麻紀以外は。
私たちはバトミントン部だった。
部員はわずか8人。
少ない人数の割りに揉め事が多いチームだった。
そのほとんどの原因をつくっていたのが麻紀だった。
麻紀はキャプテンのクセに自分勝手で
短気。おまけに男ったらし。
この前だって同じチームの留美の彼氏を
とって付き合い、留美を振らせた。留美は初めて彼氏ができて
すごく幸せそうだったのに。
私も同じようなことを1年のときにされた。私にとっても始めての彼氏だったのに。
浮気させたっていう証拠はたくさん見つかったのにそれでも麻紀は言い張った。
「そんなの嘘だよ」
ってね。
ありえなかった。
まあそんなわけで同じ3年の元部員の、
私、留美、舞、綾香、夏帆、菜月
さらには2年の里緒まで麻紀のことを信用しなくなった。
当たり前だと思う。
それだけのことをしたんだから。
今までずっとみんな麻紀に束縛されてきたのだ。
ようやく開放されたのにまた会わなきゃいけないなんて・・・。
でも麻紀以外のみんなには会いたい。
そう思ってたから行くことにした。
とりあえず私は楽しいことを考えることに。
今塾は『夏期講習』の真っ最中だ。
だから普段は月曜日しか会えない中谷先生にも毎日のように会える。
私にとって夏期講習という大イベントに勝るものはほかにない。
でも最近先生はどうもバイトが忙しいようで
去年みたいに連日で会える、というわけにはいかなかった。
それでも私は十分満足。
平常授業よりも多く先生に会っておしゃべりできるから。
今度会ったら何話そうかな?
とか。
早く塾行きたいなー。
とか。
考えているとふいに睡魔に襲われた。
「ふわぁぁ・・・ねむた・・・」
私は部屋の電気を消して布団をかぶり
目を閉じた。